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伝えたいコトバ.2にしおりをはさみました!
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伝えたいコトバ.2
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那雪side
「俺は…この街を仕切っている、狼月会の若頭をしているんだ…
俺の両親は元々組長をしていて…暗殺された。
叔父さんの所で稽古した後、家に帰ったら…血まみれの両親がいて、
死んで、た…ッ……」
俺は驚くほど淡々と言葉を紡いだ。
けれど、繋いだ手が微かに震えてて…
あぁ、やっぱりあの日の話をするのは辛いんだなって思った。
「……ッ…」
桜は、真っ直ぐに俺を見つめている。
俺はその姿に背中を押されて、また話し出した。
「その後…俺の世話係として表れたのが、アネモネ…桜の母さんなんだ。
アネモネはいつも優しく笑ってて…
愛してるって、母さんと同じように髪を撫でてくれて、」
声を出すのが、苦しい…
桜と繋いだ指先に無意識に力が入る。
そっと、桜の指が俺の頬に触れて、俺は桜を見つめた。
「大丈夫」
声が聞こえなくても、ゆっくりと紡がれた言葉は俺を応援してくれる。
「大好きだった…初恋だったんだ。
……両親を殺したのがアネモネだって知った時、辛かった…
今でも覚えてる。銃の引き金を引いた感覚を…」
大好きだったんだ。と、呟いた。
アネモネの命を…人生を奪って、その上で生きている、
「俺は、人殺しだ」
そう言った瞬間、桜が息を飲んだのが分かった。
「……ッ…こんな人間だって知って、嫌になったよな…桜。
それでも、俺は桜が好きだから…幸せにしたい。」
「今なら…アネモネが俺を殺さなかった理由が分かるよ。
きっと、桜と俺が重なって見えたから…殺さず、守ってくれたんだ。
だから今度は俺の番…桜を守りたいんだ…」
愛してるよ、と桜の髪を撫でながら囁く。
大粒の涙をボロボロ溢しながら…どんな夕焼けの景色より綺麗に、桜は微笑んだ。
「…ッ……ッ…!」
“好き”と言っているのだろうか。
何度も声が出なくても桜は呟いて、俺もそれに答えるように、何度もキスをした。
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