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子供にしおりをはさみました!
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子供
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「…………週末、」
昼食に初めてのパスタを頬張るユーリを前に、アーサーはぼそりと話し出す。
「………?…」
「週末、に…その……私の婚約者が……」
「、ほんひゃふ…」
口に物を含んだまま話そうとするユーリを手で制止した。
「…飲み込んでから話せ。」
「……………ん……、……こんやく、しゃ…?って……なんですか……?」
「…私と…将来を共にする…相手だ……」
自分でそれを口にしたことでその事実をより深く思い知らされ、アーサーはさらに気を重くする。
「…………………?」
「近く…この城で共に暮らすということだが…そうだな…結婚して夫婦のように……わかるか?」
「………おとうさん…と、おかあさん…みたいに…ですか…?」
「あぁ…まぁ…そうだな…それで……」
ふと気づくと、ユーリは少し淋しそうな顔をしていた。
「…ユーリ、…お前の………」
「………………へへ…………」
ユーリが、俯き気味に薄く笑う。
「っ………」
「…それで…その人がどうしたんで、………す…?」
気づくと、アーサーはユーリを抱きしめていた。
「……………………お前の…両親、は……奴隷だったのか」
「はい」
「…私の……奴隷か」
「………そうです………でも……」
「…っ………すまない……私が………私がお前の………」
「………アーサーさまが謝ることじゃ…ない、です……」
「……私が……私がお前を……両親の死を…そんな風に笑って終わらせてしまうような……………」
アーサーの腕に力が篭る。
ユーリは目に涙を溜めながら、その腕に手を添えた。
「……………笑わないと………だめ、です………………泣いたら…………」
ユーリはその先を、言わなかった。
これが、ユーリがアーサーに怯える理由。
ユーリが、人に怯える理由。
この、歳幾ばくもない子供は、今何を思っているのだろうか。
両親のことだろうか。
地下にいた頃のことだろうか。
ルジンとかいう男のことだろうか。
それとも、全部だろうか。
思わぬ傷を、抉ってしまった。
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