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王子さまにしおりをはさみました!
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王子さま
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「『こうして白雪姫は王子と結婚し、いつまでも幸せに暮らしました…』」
「………………」
物語が終わっても、ユーリは一言も話さず、そっと絵本の挿絵に指を這わせた。
「…どうした。」
「…………………」
「?」
「……、みんな…おうじさまが…くるんですね…そしたら……しあわせに…なって……」
「…………………」
「……お、おれ……も…………」
ユーリの細い指が本の中で微笑む王子の頬を撫でる。
「………、……………」
アーサーの手がその小さな手を包んだ。
「………言っておくが……」
そしてそのまま持ち上げると、自分の唇を押し当てた。
「…………他国の王子になど……渡さんぞ………迎えなど……追い返してやる……」
「…………アーサーさ…」
「……私がお前の王子になってやる……私が…お前を……」
アーサーは小さな手を頬に滑らせ、絞り出すようにそう言った。
「…………アーサーさまはおれのご主人さまです。」
ユーリはさぞおかしそうに笑いながらアーサーの手に自分の手を重ねる。
「…そしておれは…アーサーさまの、奴隷です。」
ユーリは、小さく、しかしはっきりと、そう言った。
自分で2人の間に引いた線は、高い壁となった。
「………おれ………ほんとは…来ないこと、わかってます………でも、アーサーさまが…そう言ってくださって…おれ…嬉しいです……」
「………私は…本気だぞ…」
「…………へへ……」
顔を顰めるアーサーに、ユーリは眉を下げながら笑う。
アーサーが建ててしまった壁は、アーサーが思うよりも高かったらしい。
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