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わからない (sideアーサーにしおりをはさみました!
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わからない (sideアーサー
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どうやらこいつには食前の祈りの仕方と、食器の使い方を一から教え込まなければいけないようだ。
アーサーはぎこちなく食事をし始めたユーリにそう思う。
手を合わせて食べたのが唯一の救い。
精神まで貴族のアーサーにとって、マナーを守ることは重要なことだった。
まぁ、今回は大目に見てやる。
と、内心でユーリを甘やかし、アーサーは自分の食事に集中した。
すると、小さな声で
「……………おいしい……………。」
と聞こえる。
当たり前だろうが。
一流のシェフに作らせている。
不味いはずがない。
『カシャンッ』
急に金属音が響いた。
その音にアーサーが顔をしかめ、ユーリに目をやる。
そして、目の前のその光景に目を見張った。
「…ぅ……く………えぐ………」
ユーリが泣いていた。
何を泣いている?
「…………何だ。不味いか。」
アーサーの言葉に、ユーリは更に激しく喘ぎだした。
「…ぅ……ちがっ……ます……ぇぐ……おいし…です…!おいしいでず……!」
……美味しい?
美味しいって言っているのか?
意味がわからない。
「………なら何故泣く。」
「ぐ…おいしいからっ…でず……ふっ…」
答えになっていない。
……何なんだ。
アーサーは自席を立ち、ユーリの横に歩いて行くと、屈んで目線を合わせた。
「こっちを向け。」
涙を拭く手を強引に掴み、こちらを向かせる。
「ふぐ……?…ぅぅ……」
涙やら鼻水やらで顔はぐしゃぐしゃだ。
「……落ち着け。」
「ひっ……ぐ…ぅ……んん…ふっ……」
ユーリはひっくひっくとしゃくりあげて、泣くのを止めようと必死に息を止める。
「……どうした?」
アーサーは比較的優しく聞こえるようにしながら、背中を撫でる。
それにユーリは、息をつまらせながらも応えた。
「…ひ…おいし、からで…ぅ…す…」
………埒が明かん。
「…………美味しいのはわかった、そうか。
では何故泣く?」
何回目かの同じ質問をする。
「……わ、かり…ません………。」
鼻を啜りながら鼻声で小さくそう言うと、目元をごしごし擦る。
「…………………………………。」
……わからない、とはどういうことだ?
泣いておいてわからないとは。
なら尚更私にも分かるはずがないだろうが。
黙ってしまったアーサーを見て、ユーリはハッとする。
「っ……!す、すみません…!アーサーさま…ごはん中なのにさわいだりして…!」
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