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不安にしおりをはさみました!
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不安
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「あ、あの、アーサーさま…おれ、1人で歩けます…!」
ユーリはアーサーにしがみついたまま訴えた。
部屋でメイド服に着替えを済ませた後、アーサーは当然のようにユーリを抱き上げ運んできた。
ユーリは恥ずかしいやら何やらで、メイドたちの視線が痛いのにも気づいてしまい、俯いてアーサーに懇願する。
「……お前は歩くのが遅い。
だから運んでやっている……何か嫌なことがあるのか?」
アーサーの言葉と鋭い瞳に捉えられ、ユーリは反射的に体を強張らせる。
「…ご…ごめんなさ…」
ユーリは諦めて、できるだけ体を丸めると、メイドたちの目に止まらないようにした。
「……言っておくが。」
「………?」
ユーリが恐る恐る顔をあげると、アーサーと目が合う。
「お前はもう少しその貧相な胸を張ってもいい。自信を持て。」
「………じしん…。」
前半の言葉の意味はわからなかったが、自信、と言う言葉はわかる。
地下でよくルジンに「自信を持て」と言われていた。
(…あぁ…ルジンに会いたい…。)
ユーリは俯くと、顔を歪めた。
「ルジン…、」
今、何をしているだろうか。
どこにいるのだろうか。
ご飯はきちんと食べれているだろうか。
倒れてやしないか…。
ユーリの母は数年前に亡くなった。父も。
原因は過労死だった。
両親とは働き場が別だったために、知らないうちに死んでいた。
その後両親がどうなったのかはわからない。知らない。
ルジンがそうなったらどうしよう?
俺がいないせいで…ルジンに仕事がいってたらどうしよう?
俺にはルジンしか…いないのに…
どうしよう?どうしよう?
ユーリは途端に不安に飲み込まれた。
無意識にアーサーの服を握りしめ、唇を噛む。
「…おい…どうした…」
「……も…もど…らなきゃ………」
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