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雨の日にしおりをはさみました!
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雨の日
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ザーーーーー。
雨。
俺は雨は嫌いだ。
(今日、天気予報で晴れだったよな…?)
入学早々、やっと桜が咲いたと思ったのに。
なんでこう、毎年桜咲くと大雨が降るんだろ。
しかも今日は降らないと思ってた俺。
もちろん、傘なんて持ってきてない☆
…おわった。
と思いながら俺は玄関で立ち尽くしていた。
とりあえず雨がちょっと落ち着くまで待っていよう…。
「シュン、だよな?」
後ろからいきなり俺の名前を呼ばれた。
振り向くと、なんか見たことある男子生徒が立っていた。
(あ、やべ。こいつたしか同じクラスの…。名前わかんない)
「…お、おう!えっと、同じクラスの…」
「…?…マコト」
「あ〜〜、マコトだ!!」
思い出した思い出した。
同じクラスの、
しかも俺の後ろの席のヤツじゃん!
…はっ。
思い出した感いっぱいに言ってしまった。
そう思った途端、俺はあたふたしてしまった。
アツシはそれを見てクスと笑って
「なんかシュンって、人の名前覚えるの苦手そうだよな(笑)」
「…すまん…」
図星をつかれた。
「いや、いいと思うぜ。知ったかぶりするよりは、反応が素直でさ」
(それっていいことなのか…?)
俺がん〜?と考えていると、
あはは、とマコトはまた笑った。
「シュン、面白い」
「それ、どーゆ意味だよ。」
「もちろん、いい意味だよ。」
「……い、いい意味か。」
なら、いいのかな?
マコトは、屈託なく笑った。
いかにも体育会系で、友達も多そうな感じ。
俺とは正反対だ。
ちょっと苦手かもな…。
何て思っていると、
「そうそう、シュン今帰り?」
「うん、でも…」
「傘がないのか、じゃこれ使いな。」
マコトはそう言って持ってた傘を俺にさしだした。
「えっ、いいの?お前は?」
「うん、大丈夫」
(折りたたみとか持ってんのかな?)
と思いつつ、傘をおずおずと受け取る。
その途端
「じゃ、風邪引くなよ!」
マコトはそう言い残し、ザーザー降りの雨の中飛び出していった。
「…え?!」
なに、あいつ、
お礼くらい、言わせろよ…
キュン……
あ、やばい。
やばい、やばい。
好きになっちゃ、ダメだ…。
高校では隠そうって決めたのに…。
でも、
無理そう…。
真っ黒い大きな傘をぎゅっと握った。
(雨もいいもんだな…。)
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