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三千世界の鴉を殺し、(SS)にしおりをはさみました!
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三千世界の鴉を殺し、(SS)
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「んぅ・・・ふぁ~」
「お目覚めですか?坊っちゃん。」
「っ!?」
普段はアーリーモーニングティーのセットをワゴンで引きながら起こしにくるはずの執事が、隣に寝ている。
それに、腕枕されていて、シエルの広いベッドの上なのにずいぶん距離が近かった。
(そうか・・・昨日の夜・・////)
まだ甘い雰囲気をひきずっているようで、鮮明に蘇る昨夜の記憶。
セバスチャンの掠れた声で囁かれる愛の言葉も、優しく愛撫する指も、全身を這う唇も。
シエルはあれこれ思い出して恥ずかしくなってきた。
「おはようございます。」
「おはよう・・・///」
どんな顔をしてセバスチャンを見たらいいのかわからなくて、セバスチャンの胸に顔を押しあてて抱きついた。
「シエル。朝からそんなに可愛いらしいことをされると困ります。また・・・その気になってしまうでしょう?」
セバスチャンが苦笑いしながらシエルにそう告げると。
「ばかっ、腰痛いから・・・////」
と、怒られた。
「さて、そろそろ使用人たちを起こしに行かなくては。」
坊っちゃんはもう少し寝てて構いませんよ、と言ってベッドから出ようとしたのだが。
シエルが離れる気配がない。
「坊っちゃん・・・?」
「・・・なんでもない。もう主人と執事に戻らなきゃな。」
シエルが寂しがっているのは分かっている。
この歳で聞き分けがよくなり、ワガママが言えないことも。
「今度、お暇をいただきましょうか。2人で・・・ね?シエル。」
「え・・・?」
「旅行へ行きましょうか?どこがいいですかねぇ・・・」
「どこでもいい。お前と2人なら。・・・何もしなくてもいいんだ・・・////」
「シエル・・・。」
女王の番犬と呼ばれようとも、ファントム社の社長であろうとも。
その全てから逃れて、セバスチャンといれたらと思うことがある。
ただ一緒にいたいだけなのに、どうして赦されないのかと。
だけど、この場所から逃げるわけにはいかないから。
セバスチャンにもそれが分かっているからこその提案だろう。
ただの恋人同士でいれる時間がほしい。
例えそれが、つかの間であったとしても。
だが、休みをとることも難しいだろう。
それもわかっている。
でも、セバスチャンの気持ちが素直に嬉しかったから頷いておいた。
また後で。とキスをして、セバスチャンが部屋から出ていった。
セバスチャンに魂を食べられたら、今度こそずっと一緒にいられるだろうか。
だとすれば、それも悪くないな、と自嘲してシエルは再び眠りに落ちていった。
タイトルは都々逸「三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい」より。
ここでは、
世界中全ての朝から喧しい、眠りを妨げるものを排除し、貴女とゆっくりしてみたい
というような解釈です。
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