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好きな人の失恋は自分の失恋でもある。にしおりをはさみました!
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好きな人の失恋は自分の失恋でもある。
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次の日、廊下で草薙先輩を見かけて小走りで近寄った。
だけど。
「林檎、悪いけどそっとしといてくれる?」
誰から見ても草薙先輩の機嫌は悪くて、僕も頷くしか出来なかった。
こんな草薙先輩を見たことがなくて少し怖かった。
その日は草薙先輩の機嫌が直ることはなかった。
その次の日、何時ものように草薙先輩を待つけれど草薙先輩は登校してこなかった。
今日はお休みなのかなって落ち込んだ。
そんな日の二時限目の終わりの休憩時間。
クラスメイトがバタバタと走って僕の肩を掴んだ。
「りりりり、林檎!!」
「え、なに...?」
「草薙先輩が....」
カタン、筆箱を落とした。
草薙先輩が、柳瀬先輩と付き合った。
それは僕の片思いの終わりを告げていた。
「林檎...」
「大丈夫。大丈夫、だよ」
わかり切っていたことだから。
その声は小さくて、掠れていた。
草薙先輩が好きです。
今でも好きです。
どうか、思う事だけは許してください。
お二人の邪魔はしないから。お願いしますって、僕は1人で呟いた。
***
それから数日後、草薙先輩は呆気なく柳瀬先輩と別れた。
少し、喜んでしまった自分を殴った。
こんな醜い心で草薙先輩を思いたくない。
だけどこれで遠慮なくまた草薙先輩にアピール出来る、というわけでもなかった。
柳瀬先輩と別れた後、草薙先輩が目で追っているのは宮下先輩だった。
宮下先輩は柳瀬先輩の親友だったはず。
もしかして、気付いたら宮下先輩の方が好きだったのかな。
「入り込む余地、ないんですね...」
あの日の図書室では、声を潜めていても聞こえるくらい近かったのに。
今はこんなに遠い。
柳瀬先輩の時より、糖度を含んだ目。
優しく優しく相手が大事だって、体全体で伝わってくる。
「僕だって...好き、なのにぃ...」
貴方の側にいるのに、なんで気付いてくれないの。
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