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重くて暑くて、少しだけ息苦しい。
目を開けると、薄暗くてすぐ目の前に肌色と黒色。
何故か自由になっている手で頭まで被せられている毛布を剥がすとカーテンの隙間から明かりが漏れていた。
少し顔を上げると弟の綺麗な寝顔があって、重かったのは弟の片腕が俺に乗っていたからなのだと理解する。
気持ち悪い。
俺と同じボディソープを使って、シャンプーを使って、洗剤も同じ物を使っているはずなのにどうしてこいつと俺の匂いは違うのだろう。
弟を起こさないようにそっと腕から抜け出す。
ツンと右手が少し引っ張られたような感覚にドキッとした。
起こしてしまったかもしれない、と思ったけれど相変わらず瞳は閉じられていて規則正しい寝息を立てていた。
俺の右手の上に弟の左手が乗っていて、指が絡められていた。
そっと弟の手を外すときゅ、と手を握るような動作をした後弛緩して動かなくなった。
右手に汗をかいていたからずっと手を握られていたのかもしれない。
弟が家に来て初めて風邪を引いた時のことを思い出した。
「兄ちゃん兄ちゃん」ってぐずる弟をおふくろが無理矢理寝かしつけていた。
「うつるからあんたは来ちゃ駄目」と言われたけれど、おふくろの目を盗んで弟の様子を見に来ていた。
「兄ちゃん苦しい、痛い」って泣きながら咳き込む姿が痛々しくて、なんとかしてやりたくていつだかおふくろが見ていたドラマを真似て指を絡めて手を握ってやった。
そうすると少しは落ち着くようだったから弟が風邪を引くたびにそうして手を握ってやっていた。
精神的に不安になっているせいか手が離れただけでぐずりだすようになってしまったからずっとそばについていなければならなくなって翌日には弟の風邪を全部貰ってたっけ。
その度におふくろに怒られて、部屋に隔離されて、外から弟が泣きながらドンドン戸を叩くからおちおち寝ていられなかったんだよな。
あれから、もう十年経つのか。
あの小さかった身体は大きくなり、病的に白かった肌は健康的に少しだけ焼けている。
寝顔だけは、あの時と変わらない。
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