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失ったモノにしおりをはさみました!
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失ったモノ
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あの日から伊藤さんは家に来なくなった。
僕の事が気持ち悪くなったのかな?
それはちょっと酷くない?
伊藤さんほうがノリノリだったんだから。
まあ、どうせいつかまた家に来るだろう…
そんな軽い気持ちで僕は家に帰った。
鍵を開けて家に中に入った時、
見覚えのない、黒いヒールが俊介さんの靴の隣に置いてあった。
え、誰の?
ヒールだから、女の人がいる事になる。
し、仕事関係の人かな?
顔を出したらまずいかと思い、
静かに階段を上っていこうとしたら
「柚月。ちょっと来てくれないかな」
と俊介さんに呼び止められた。
「あ、うん…」
なんだろう、この胸騒ぎ。
俊介さんに続いてリビングに入っていくと
そこには綺麗な女性がいた。
黒髪ロングの、すらっとした体型で、いかにも、出来る会社委員みたいな雰囲気の人だ。
「あ、この子が俺の言ってた息子で、19歳になったばかりなんですよ。
柚月、挨拶」
「あ、芹沢柚月…です。初めまして…」
「初めまして。随分と可愛らしい息子さんですね。仲良くできたらいいな」
仲良く?
どうして僕と仲良くしなきゃいけないの?
まさか…
「柚月、この方が…相沢優香さんだ…
新しいお母さんになる方だ。」
「よろしくね、柚月くん」
やめて…
お願い。
こんなの…嫌だ…
この女が…俊介さんが好きな人なんだね。
この女のせいで僕は愛してもらえないんだね。
今すぐ殴りかかって、結婚なんかできない程の状態にしてあげたいのに
俊介さんに再婚なんか辞めさせたいのに
僕だけを愛してって伝えたいのに
この女の優しい笑顔に
僕との差をつけられてるように感じて
惨めで
こんな素敵な人に勝てる気がしなくて
だったら受け入れる事しかできなくて
「はい、こちらこそよろしくです。素敵なお母さんができて嬉しいです」
嘘を付く事しかできなかった。
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