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娼年episode1.ミシェルにしおりをはさみました!
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娼年episode1.ミシェル
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10番地にあるとあるお店。
そこには見目麗しい少年が働いている。
彼らは身を売り心を捨てて暮らしている。
そこのNo. 1、ヒエル・ディ・ミシェル。彼は幼い頃に捨てられここで働いている。
ミシェルはいつも熱っぽい濡れた瞳で妖艶に笑いながら客の相手をする。
しかし、ミシェルは、一度たりとも感じたことはない。
何故ならそこに愛が無いから。
とても単純でとても重要な問題であると言えるが、ミシェルは特に問題視していなかった。
そんなある日、まだ、ウブで若い男が来店した時の事。
彼は金持ちの家の息子のため、ミシェルを指名した。金はいくらでも出すからという事らしい。
そんな物欲にまみれたウブな男は、ミシェルに惚れてしまった。
それからは、毎日のように来て、ミシェルに貢いだ。
ミシェルの望むものを与えた。
自身がもはや、ミシェルを指名する金すらなくなっても、それでも、店の前で毎日のように、ミシェルが窓の下を見下ろすのを待っていた。自分はここにいるぞと何としても伝えたかったらしい。
ミシェルは気付いていた。
最初はバカな客だと罵っていたが、次第にそこまで尽くしてくれる彼に感謝の念を抱いていた。
日々、身体だけを求める行為。その中にお互い愛などなかった。
今日も寒空の下、ミシェルの姿を一目見ようとする彼を嘲笑うかのように、ミシェルは他の男に抱かれる。
しかし、ミシェルはある日から、客を選ぶようになってしまった。
と言うより、店にいるというのに、窓の下ばかりを眺め、客の相手をしなくなってしまったのだ。
店主は叱りつけたが、ミシェルは言うことを聞かなかった。
ミシェルはただ一人、その男の姿を探して、窓を見下ろす。
ある日、街へ出て行った時のこと。仲間にいろいろ買い出しに行こうと誘われたため街へ出た時、喪服の集団が見えた。
ミシェルは胸騒ぎを覚え、仲間の制止も聞かず、その集団を追いかけた。
そこには、あのお客の名前の書かれた墓があった。
ミシェルは膝から崩れ落ち泣いた。
「ぃゃだ……嫌だ!……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嘘だ嘘だよ…こんなの…嘘だ!!!!」
その後仲間がミシェルを見つけた時、彼は墓に寄りかかり虚ろな目で泣いていた。
大きくて綺麗な目からはキラキラと夕日に照らされた涙が、いつまでも流れ落ちていた。
翌日、ミシェルは店を辞め、今までの給料を使って部屋を借り、近くの花屋でバイトを始めた。
それから毎年、あのお客の墓にはとても綺麗で立派な花束と、「I'm sorry...I love you .....forever.」と書かれたカードが置いてあるという。
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