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しあわせ。 side陽太にしおりをはさみました!
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しあわせ。 side陽太
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息が切れる頃には住んでるマンションについていた。
ドアノブを捻ると抵抗なく扉が開く。
不用心だな、と思うけれどそんな所も愛おしくて。
[…ただいま]
靴を脱いで声をかけるけれど返事がなくて、寝ているのかななんて考えながらリビングへ行く。
すると弌は寝てなくて、ソファに腰掛けてただ、ぼうっとしていた。
俺がリビングへ歩いてきた事にも気づいていないようだった。
[ただいま、弌]
近づいてにこりと笑いかけてからそう言うと、弌は驚いて肩を揺らした。
[……ぁ、陽太。おかえり…]
おかえりと言った声は嬉しそうなのに、弌の表情は悲しそうな顔で。
鼻と鼻がくっつきそうなくらい顔を近づけると、弌は一瞬、ぐしゃりと顔を歪めた。
女物の甘ったるい香水が香ったらしい。
その表情が愛おしくて。
ああ、愛されてるんだ、嫉妬されてるんだ、と思うと心から幸せになった。
[帰り、遅くて、ごめんね]
そういって柔らかい唇に口づけると、弌の瞳がつやつやと潤む。
口元が緩く弧を描いて、凄く幸せそうに弌が微笑んだから、俺は一等嬉しくなって弌をもっともっと愛おしいなと思った。
走ってきたから喉が渇いてきて、弌の頭を撫でてから何か飲むためにキッチンへ行く。
冷蔵庫からお茶を取り出して飲んでいると、シンクに皿が置かれていて。
弌は何を食べたのかな、なんて考えて、ふとどの皿もセットになっていることに気づいた。
俺の分も作ってたのかな、そう思ってギシリと心が痛んだ。
ゴミ箱を開けてみると、見るも無惨な食材達があって。
今日のご飯はハンバーグだったらしい。
食べたかったなぁ。
[ねー、弌、ハンバーグ俺も食べたいから明日また作ってよ]
[…!明日は、帰ってくるの早いの?]
弌の目がきらきら輝く。
可愛い。
俺が浮気しないで早く帰ってくるのが嬉しいらしい。
だから俺はにこっと優しく微笑んで言ってやる。
[…まあ、遅くなると思うけど。
一応作っといて?…捨てないでね?]
弌の瞳からきらきらが消える。
うん、とか細い声で、泣きそうな顔で言うから、
俺はまた、凄く幸せな気持ちになった。
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