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朝食にしおりをはさみました!
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朝食
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「イチ何やってるの」
「あ?ここに座るんじゃねーのかよ」
「誰が座って良いなんて言ったの?」
「は?」
樹が無言で床を指さす。
それだけで意味を悟った俺は、大人しく床に胡坐をかいた。
まずテーブルの二人の前に食事が置かれ、次いで俺の前にもトレーに乗ったそれが置かれた。
食事の内容はシンプルなベーコンエッグとトーストのみ。少し少ない気がした。
まぁ昨日みたく無理やり食わせられるよりかは大分ましか。
俺がそう思って食事に手を付けた時、再度樹から制止の声が掛かる。
「イチはまだ食べちゃダメ」
「はぁ、今度は何、ですか?」
「春がイチが食べるところ見たがってるから僕らが食べ終わるまで待って、良いね」
「はっ、人が飯食うだけだ・・・ですよ?」
「イチの意見なんか訊いて無いよ」
「・・・ちっ」
樹がちらりと三番に目配せをしたのを見て、俺は渋々引き下がった。
一日ぶりのちゃんとした飯にようやくありつけると思ったらこれだよ。
折角の飯が、絶対俺が食うとき固くなってんだろこのパン。
大体そうならそうで、先に食ってから俺呼べばよかったじゃねーかよ、それに・・・
俺は手持無沙汰な事もあり、延々と双子に対する愚痴を頭の中で並べて時間をつぶした。
数十分後、ようやく双子の食事が終わる。
大した量じゃねぇくせにたらたら食いやがって。
あーあ、俺の飯がもうかっさかさじゃねーかよ。
「ふぅ、お腹一杯」
「お、春今日は全部食べたね。凄い凄い」
「うん、樹に褒めてもらえるかなって。ちょっと頑張ってみた」
「ふふっ、偉いぞー。春、ご褒美欲しい?」
「ご褒美?うん、欲しい」
「じゃあ部屋行こ」
「あ、でもイチの食べるとこ見たい」
「それは明日でも見れるよ。それとも春はご褒美欲しくないの?」
樹の言葉に春が考えるそぶりを見せる。
おい、ふざけんなよ。
「んー・・・分かった、部屋行く」
「三番、後宜しく」
双子はもう俺を振り返ることも無く部屋から出て行った。
「イチ様、お二人の食事が済みましたので、どうぞお召し上がりください」
俺は無言で立ち上がり皿を持ってテーブルに乗せた。
「イチ様」
「うるせぇ」
俺は椅子を引いてどっかりと座り食事を始める。
「イチ様、ご主人様から許可が下りておりません」
一切無視して乾いた飯を口に詰め込んでいく。
「イチ様」
「・・・駄目だっつうんなら飯もってけ。持ってかねぇんなら黙ってろ」
俺はそれだけ言うと食事を再開した。
その発言に呆れたのか無駄を悟ったのか、それから三番が声を掛けてくることはもうなかった。
およそ双子の三分の一程度の時間で食事を済ませる。
「こちらへ」
沈黙を守っていた三番が俺を部屋から出るよう促す。
俺は座っていた椅子を蹴とばすように立ち上がり三番の元に歩み寄って行った。
ガキみたいな八つ当たりだと言う事は分かっている。
でも何かに怒りをぶつけないと堪えられそうになかった。
俺が蹴とばした椅子を気にした様子も無く三番は俺を部屋の外へと誘導する。
道順からしてまたあの部屋に戻されるらしい。
なまじっか外の景色を見たせいか、地下室だと言う事に気付いてからはそこが酷く窮屈な場所に感じた。
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