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18歳以上ですか?
ピンクにしおりをはさみました!
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ピンク
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「イチ様、そろそろ夕食のお時間ですが、立てますか?」
「晩飯か・・・あん?昼飯食ってねぇぞ俺」
「お気付きでないようですが、先ほどイチ様がお休みになってからかなりの時間眠っておられましたので」
また三食食えねぇのかよ。
「わあった、行きゃいいんだろ行きゃあ」
「そうですね、ご主人様に未だに意識が戻らないと説明しても、恐らく今度は直接様子を見に来られると思います」
俺は先ほどまでの和やかな雰囲気を惜しむように、ゆっくりとベッドから足を下ろした。
「また来ていいか」
「・・・ご主人様のお許しが出れば、僭越ながらお待ちしております」
「・・・よし、行くか」
「こちらでございます」
三番の後ろについて俺は部屋を出る。
初めて通る道順で廊下を進み、見慣れたドアの前に立つ。
もう声を掛ける必要は無くなった様で、三番は無言でドアを開いた。
「お、来た来た。イチー、元気になった?」
「あ、ねぇ樹、腕の印ってもう見れるの?」
「うん、見れるはずだよ、イチ、こっちおいで」
樹と春はまだテーブルについておらず、別に据えられた大きなソファーのうえに座っていた。
その前に歩み出る。
「膝付いて、右腕出してみて」
身体を僅かに傾けて膝をつき腕を出す。
その腕を取った樹が袖をまくり、春と一緒に二の腕をのぞき込んだ。
「うん、やっぱり綺麗に付いてるね。春、これでかさぶたが取れたら綺麗なピンク色になるよ」
「え、そうなんだ。へぇ、僕ピンク好きだから嬉しいな」
「ふふっ、僕も好きだよ、ピンク。春の色だからね」
「へ?なんで?」
「だってほら、桜って春に咲くよね、だから春の色」
「あ、そっかぁ、じゃあっ、じゃあっ、えっと樹は・・・あ、樹だから桜の木だよ、僕と一緒、二
人の色だね」
「へぇ、成程ね。ふふっ、春かーわい、それじゃあごはん食べる?」
「うん、お腹空いた」
「イチ、イチももう食べて良いよ。さっきみたいに倒れられたら遊べないし」
樹が俺の右腕のかさぶたを、かりかりと爪でひっかきながら告げてくる。
先ほど俺で遊べなかったのを若干引きずっている様だ。
「分かりました」
夕食はポトフとフランスパンだけだったが、実際食べてみると結構な量があり、食べ終わるころには俺は少し苦しくなっていた。
双子は絶対残しただろと思ってテーブルの上を見ると全てなくなっており、どういうことだと三番を見た。
だがその答えは三番ではなく意外なところから教えられた。
「イチ全部食べたんだ、僕らの倍はあったのに」
「樹?そうなの?」
「うん、昨日今日ってあんまりご飯食べて無かったし、倒れたのもそれが原因かなって思って三番
に頼んどいたの」
「すごぉい、樹ってやっぱり頭いいよね」
「ふふっ、ありがとー、でも春も頭いいと思うよ、だって・・・」
そこから先は例によって褒め合いが始まったので、聞いているふりをして木目を数えていた。
褒め合いが一段落すると、春が眠くなったと訴えだし、そのまま就寝の流れとなる。
俺も特に何をされるでもなくて、簡単な支度を済ませた後すぐにベッドに横になっていた。
昼間に三番の部屋で眠ったからか中々寝付けなかったが、寝返りを繰り返すうちにそれが億劫になり、段々と瞼が下がりだす。
そしてようやく眠れるなと思った時、かすかだが確かに、ドアの開く音がした。
・・・誰だ?
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