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優越感の理由にしおりをはさみました!
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優越感の理由
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「……っ、あ、ミヤくん、!!!」
酒井教授が俺と話す時とはまるで違う声音でそういう声が聞こえたので俺も急いでその方向へと顔を上げた。
すると、俺の向かいに座る酒井教授の横にさっきまで女生徒と話していた都がなにやら紙を持って立っていたのだった。
「、……あ、……都、」
さっきからずっとこいつの話をしていたとしても、急に近くに来たものだからついそう声に出してしまった。
するとそれに反応したのか都がチラッと俺の方を見るとほんっとうに微かだけど軽く会釈をしてきた。
……あ、……無視されなかった、。
今まで俺の存在を否定するかのように無視してきていたのに、、、……。
挨拶してくれたってことは、……もう俺の存在、認めてくれたって、……こと、……?
…………なんだかたかがそんなことなのに嬉しくって口元がニヤけてしまった。
……って、よくよく考えたら認めてくれたってなんだよ、?!?!?!なんでこいつの方が上から目線なんだよ、ばーーーか!!!!!
俺は自分の言ったことにそう自分でツッコみを入れてまたそんな自分に今度は苦笑いをした。
「あ、確認かい?……、うん、分かった!直ぐやるからちょっと待っててね、!」
へへへ〜〜っと声が聞こえるかのようにルンルンに酒井教授はそんなことを言いながら、首にぶら下げていた老眼鏡を耳にかける。
その紙の端にチラッと見えた青い付箋にはこの前見たすごく綺麗な文字で"チェックお願いします"と書かれてあった為、どうやら今してるのはデータ採取の確認作業らしいということが分かった。
都もペコッと酒井教授に頭を下げてそのまま確認が終わるのを横で待つみたいだった。
………作業の音だけが部屋中に響き渡り、さっきまでの賑やかさが嘘のように感じられる。
…ってもしかして、煩かったのは俺と教授だけだったのかもしれない……。
……まぁ、別にやましい話なんて一切してねえし、どうでもいいんだけどね、……
そんな沈黙の中、俺は斜めにいる都に視線を向けた。
俺は座っていてあいつは立ってる為、視線は下からになる。
なんだかいつもよりまつ毛が長いように見える。
(いつもというほど見てねえけど)
でも、白衣から出るその白い首はやっぱり折れそうなほど白くて、また儚いようなオーラをかもちだしていて、やっぱりこいつは他の奴とは違う……と再確認した。
ーーー………つーか、……あれ、、……?
そういや、……俺……なんか忘れてねぇか、……、??
……なんか、次都にあったらなんかしようと思っていたことが、……あった気がするんだけど……、、、ーーー……って、、あ、……
「…っあ、……思い出した、……!!!」
パンっ!!!と手を叩いてそういうと、シンとしていた部屋に予想以上にその音と声が響いてバ!!!っとみんなが俺の方を見るから、「あ、……さーせん……」と謝ることになってしまった。
ーー……でも、そうそう!思い出した思い出した、!
「都、ちょっと待ってて。」
へへっと俺は立つ都にそう笑いかけながら、ここにきて初日に用意してもらった机(兼荷物置き場)へと向かった。
都の目の動きが少し遅い為、目を合わせることはなかったが、都の目が俺のことをジッと追っていることだけには気づいていた。
俺はそんな中、机の下にしゃがみ込んであれやこれやと探し物をし始める。
「……、あっれ、……この辺に置いたずなんだけど、…………お、あったあったー。、」
持ってきたのはここ最近だからなくなるはずもないんだけど、…俺は目的のものが入った紙袋を奥から出して都の方へと持って行った。
都は訳がわからなそうに目をパチクリと開いたり閉じたりを繰り返す。
……まぁ、ほぼ何かはわかってるとおもったんだけど、……
……そう!!俺が持ってきていたのは、この前都に貸すと約束していた本である。
「、はい。これ、フェニックスの本。」
俺はそう言って都にその紙袋を差し出した。
その瞬間に都の顔がパァっ!!と明るくなった。
そしてまたその都の反応を見た酒井さんが「は……っ?!?!」と驚きの声をあげた。
「……は、……?!……ちょっと逢坂くん、……?!……なにそれ、なにそれ……僕聞いてないんだけど、、!!!どこでそんなミヤくんと仲良くなってたの、……?!?!」
酒井教授はそう驚いた表情のまま俺に焦って聞いてきた。
「……仲良くって……別に、……本を貸す約束してたんで、それを実行してるだけっすけど、……」
何の気なしにそういう俺。
……でも実際は酒井教授に、……いや、ここにいる研究員全員に少し優越感を感じていたのだった。
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