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ゼロはいつも夢うつつにしおりをはさみました!
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ゼロはいつも夢うつつ
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その人が出ていった後に、縁側に座って内庭を眺めた。
美しい花が咲き乱れ、よく手入れがされている。
「……スゴい庭だなぁ……」
誰が手入れをしているんだろうか……
目を細め、そう呟いた時、
「そうでしょ?」
と声が聞こえた。
立派な木の幹の後ろに体を半分隠した男の子が、ニタッとこっちを向いて微笑んでいた。
誰もいないと思っていたから、びっくりして動けずにいると、男の子はこっちへ小走りで駆けてくる。
そして僕の隣に腰かけた。
人懐っこそうな笑顔を浮かべていて、日焼けした肌とえくぼが印象的な子だ。
……で、ノースリーブのベストに短パンを履いていて……あと、頭には可愛い角が生えていた。
「おにーちゃん、いい趣味してるね!!」
褒められても頭に入ってこない。
さっきの狐さんといい、この子といい、いくら夢でも不思議すぎるよ。
「え、えと、君は……?」
あー、またしどろもどろだ。
けれどその子は嫌な顔一つせず答えてくれた。
「あー、ごめんねいきなり話しかけて。庭を褒めてくれる人、あんまりいなくってさ。
俺はユウっていうんだ。立派な鬼の子だよ。
この庭の管理してまーす!」
「……お、鬼の、子?」
あー、だから角が生えていたのか!
って納得出来ないよ……?
だって鬼って絵本の中の生き物じゃないか。
「ふふふ、君の名前は? 君、人の子でしょ?」
「……う、うん。 僕は人間だよ。 ええと、名前、は……」
そこまで言ってはっとした。
知らない人に名前教えていいのかなぁ?
しかも相手は鬼だ。
まあ、でも……見る感じ悪い子じゃなさそうだし……大丈夫か、な。
「僕の名前は、れーー」
「ああああああああああ!!!!」
「うえぇぇぇぇぇ!!??」
ユウ君が急に僕の後ろを指差して絶叫した。
僕はその声に驚いて大声を出してしまった。
「狐のジジイーーーー!!!!」
ユウ君はそう叫んでどこかへ走りさっていった。
きつねの、じじい?
考える間もなく、僕の背後からは深い深いため息が聞こえてきた。
「……驚かせてすまんな」
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