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ないとないにしおりをはさみました!
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ないとない
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「……であるからして、この公式を当てはめれば…」
数学の授業。
聞いていて頭が痛くなってくる。
先生が何を言っているのか未だに理解できない。
「じゃあこの問題、大泉、解いてみろ」
「はい」
ドキッと、胸が高鳴った。
先生に名前を呼ばれた彼は、立ち上がり黒板にすらすらと問題を解いていく。
「正解だ」
先生が、黒板にあかまるを書いた。
彼はちょっと得意気な顔をして席に座る。
俺はそんな彼から目が離せず、じっと見つめていた。
彼の名前は、大泉和正。
人気者で、爽やかでイケメンで、しかもモテモテ。
運動も出来るし勉強もできる、非の打ち所がない人だ。
そして、俺の憧れの人。
全てが正反対の彼に俺は憧れて、彼のような人になりたいと思っている。
……やっぱり、何処から見てもかっこいい。
いいなぁ……。
「……ろ…………むろ……………氷室瞬!」
「は、はいっ!」
突然名前を呼ばれ、思わず勢いで立ち上がってしまった。
「ぼーっとすんなよ。この問題解るか?」
「わからない、です…」
「おいおい、もうちょっと解く努力しろよな」
「あはは、すいません…」
なんだかばつが悪くなり、俺は笑って誤魔化し座った。
あぁ、恥ずかしい。
俺って本当にダメな人間だよなぁ。
勉強も出来るわけでもないし、運動も出来るわけでもないし、顔もいいわけでもないし、明るい性格でもないし…。
しかもすぐネガティブに考えちゃうし。
ほんと、非の打ち所しかない人間だよ。
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