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【大泉和正 番外編】最初の会話にしおりをはさみました!
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【大泉和正 番外編】最初の会話
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高校に入学してクラスに初めて入ったとき、一番最初に目がいった人は、大人しそうでかわいらしい顔をした男子だった。
友達と話をしている彼は楽しそうに笑っていて、その笑顔がなんだかきれいで、眩しくて、思わずみとれてしまった。
でも彼はかなり人見知りらしく、あの時の笑顔は幼馴染みにしか向けていなかった。
それがちょっと悔しくて、俺にも笑いかけてくれないかなとか思っていた。
そんな彼と初めて言葉を交わしたのは、学校祭の時だ。
俺たちのクラスはメイド喫茶をやることになった、主に男子の要望で。
まぁ確かに女子はみんなそれなりに可愛かった気がする。
そんな女子から出た提案は、「私たちがメイド服着てあげるんだから、誰か男子1人メイド服着なさいよね」と言うものだった。
当然女子全員がメイド服着たいわけじゃない。
男子側もしぶしぶそれを承諾し、誰が着るか話し合われたわけだが……。
当然誰も女装なんかしたくない。
話し合いが滞ったときに誰かが「じゃんけんで決めよう」と言ったのが、彼の運のつきだった。
案の定、こう言うときの運が悪い彼はじゃんけんに負け、メイド服を着ることになってしまった。
その姿を想像して、俺は不覚にもドキドキしたのは秘密だ。
学校祭の準備も進んできた頃に、衣装が出来たと言うことで女子たちはサイズに問題がないか試着をしていた。
当然彼も試着している。
が、女子全員が出てきたのに彼だけ姿を現さない。
まぁ、当然と言えば当然だが。
仕切りの向こう側で着替えていた彼のもとに幼馴染みたちが駆け寄る。
「出ておいでって、大丈夫だから!」
「うん、似合ってるし」
「嫌だよ……恥ずかしい」
彼の泣きそうな声が聞こえた。
多分サイズには問題ないのだろう。
ちょっと可哀想に思えてきた。
「ほら、行こう?本番はもっとたっくさんの人に見られるんだからクラスの人数くらいちゃちゃっとこなさなくちゃ!」
「大丈夫だよ、出てきて!」
「私たちも恥ずかしいしね!」
女子も総動員で説得に向かう。
もうそうなれば出ないわけにはいかない。
彼はしぶしぶと言った感じで、仕切りの向こう側から姿を現した。
クラス全員から「おぉ!」と歓声があがる。
すごく、すごく似合ってた、かわいかった。
意外と身長があって細身のからだ、更にかわいい顔してるからちょっと化粧すればもう女の子だ。
クラス全員に取り囲まれて、焦ってる彼もまたかわいい。
って、あれ、なんで俺こんなにかわいいって思ってるんだろ。
と、この時は意味分からなかった。
しばらくして彼がようやく輪の中から脱け出したとき、俺とばちっと目が合った。
彼は顔を赤くして目を逸らす。
何か言った方がいいのかなと思った俺は、「男に言うのも可笑しいけど、かわいいよ」と素直に言ったら顔を真っ赤にして教室を出ていってしまった。
これが俺と彼の、最初の会話だ。
これ会話って言うより、一方的に俺が言っただけだけど…。
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