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男の俺にしおりをはさみました!
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男の俺
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休み時間。
氷室と東條と米倉と話している時だった。
「瞬」
「あ、京子」
「!?」
氷室のことを名前で呼んだ女子のもとへ、氷室もまたその女子のことを名前で呼び、駆け寄った。
あのこ、確か隣のクラスの…。
友達が騒いでた。
背が高くてスタイルもよくて、ショートカットのクールで美人系の女子が隣のクラスにいるって。
無理矢理連れてかれて見たことがある。
あのこと氷室は、知り合いなのか?
「な、なぁ、あのこって氷室の知り合い?」
「ん?京ちゃん?そーだよ、俺たちと中学一緒なんだー。あ、でも瞬ちゃんとは従兄弟どうしで家も近かったみたいだから赤ちゃんの頃から一緒にいるんだって」
「すげー、なかいい」
い、従兄弟か…。
少しホッとした。
「あ、でも、お互い好きで付き合ってた時期も………」
「!?」
「おい、余計なこと言うなよ」
いや、そこは一番詳しく聞きたいところ!
とは言えず、「そうなんだ」と平静を装って言うことしか出来なかった。
氷室、彼女いたのか…。
「何かあったのかな、随分と話し込んでる。あ、違う女の子ひとり登場」
東條の言った通り、違う女の子が出てきて、3人で話をしている。
あのこも確か、隣のクラスの人だ。
これも友達が騒いでたんだが、もうひとりかわいい系の女子がいるって。
その子は、小柄で長い髪を後ろでひとつにまとめていて、大人しいかわいい系の女の子。
そんな子がどうしてまた………。
俺は、察してしまった。
氷室と話す女の子の様子を見て。
その子は、少し緊張した面持ちで、でも嬉しそうに少し頬を赤く染めて氷室と話をしていた。
あぁ、そうか。
あのこは氷室のことが好きなのか。
「お帰り、瞬ちゃん」
「ただいま」
「あのこになに渡されたの?」
「あ、なんかクッキー貰っちゃった。俺なんかにくれるってすごく珍しいよね。でも甘いもの好きだから…」
氷室はあははと笑ってクッキーを食べ始めた。
本当に、鈍い奴だな。
東條も米倉も呆れたように笑ってる。
「……大泉くん?」
「ん?」
「どうしたの?暗い顔して」
「……気のせいだよ。よかったね、クッキー貰えて」
「うんっ」
嬉しそうにクッキーをほおばる氷室、かわいい。
やっぱり男の俺は、氷室にとってただの友達なのだろうか。
それ以上の関係を、望んではいけないのだろうか。
さっきの女の子と氷室がお似合いすぎて、俺は泣きそうになるのをぐっと堪え、笑顔を作った。
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