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【光謙】ずっと貴方だけをにしおりをはさみました!
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【光謙】ずっと貴方だけを
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「なぁ、財前。なんで財前は俺と仲良くするん?」
部活が終わり、財前と謙也は二人で帰路につく
財前と謙也はいつも二人で帰っている
気付いたら、そうなっていた
いつからかは覚えていない
「は?どないしたんですか。いきなり」
「いや、なんでかなあ。思うて」
「意味わからんっすわ」
「もしかして、白石目当てなんかなあ。って」
「…………はあ?」
この人は一体何を言ってるのか
部長目的?それ一体どういう意味なんや
もしかして、謙也さんは俺が部長がすきだという勘違いをしてはるのか
「何を訳のわかんこと言ってますの?部長なんて関係っすわ」
「ほんまか?ほんまにか…?」
「せなやから、そうやって言ってるやないですか。何度も言わせるなや、アホ」
「アホってなんやねん!俺、一応先輩やねんぞ!」
「はいはい、わかりました。けーんーやーせーんーぱーいー」
「お前、俺のこと馬鹿にしすぎやろ!」
「馬鹿にはしてませんわ。アホにしてるだけっすわ」
「ざーいーぜーんー!」
俺はこのアホな先輩がすきや
先輩とか友達とかそういう意味のすきとちゃう
謙也さんに対する思いは、恋愛感情
謙也さんと仲良くするのは、すきやから。傍にいたいから
だけど、そんなこと言えるわけがない
「財前だけやな…」
「何がっすか?」
「白石目的やない奴」
「さっきから何を言ってはりますの?」
「最近なあ。俺に近づいてくる奴がな、みんな白石目的に思えて来るねん」
「は?」
「結構、俺女子とも仲ええねん。俺はみんなのこと、友達としてだいすきやし、みんなもそう思ってくれるとか思っとった
せやけど、白石はあまり恋愛とか女子にあまり興味ないねん。だから、女子と全く話さへん
せやから、大体の女が白石と仲良くするために、俺に近づきおるねん」
あぁ…そういうことか。たしかに部長は学校一モテはる
俺もモテる方やと思う
そう思ったことはないけど、周りがそういうから、そうなのだろう
けど、部長は世界がちゃう。一日に三回、告白の場面に遭遇してしもうたこもあるくらいや
校内で一日に三回、告白の場面に遭遇するっちゅーことは、その日は他のにも何人かされてるやろな
ほんますごい人なんやな
「でもどないして、俺に部長目的で近付いてきたから、聞きおるんです? そんなん女子だけやんやから、俺に聞く必要ないやろ?」
これは当たり前の疑問や
部長を狙ってるのは、あくまでも女子であって、男の俺を心配する必要なんてあらへんやろ
まぁ、謙也さんのことがすきな俺が言えてことやないけど
「それがな…」
謙也さんは悲しそうな顔をしおった。普段の笑顔とは真逆の笑顔やった
今にも闇に消されてしまうそうな。そんな顔やった
「男も…白石目的の奴多いねん」
「はっ?」
「せやから、男でも白石のこと狙ってる奴が多いねん。白石はな、男にもモテるんやで
あんな綺麗な顔しとるし、成績も運動神経もええし、男も惹かれるのも、わからんこともないけど…
まぁ、白石と仲良くできれば、女子も自然によってきて、チヤホヤされるやろって考えの奴も多いけどな」
まぁ、たしかに部長は男の俺から見ても、ほんまにイケメンやと思う
こんな完璧な人間ほんまにおるんやなって最初は驚いた。最初はやけど
今では、残念なイケメンでしかあらへん
「なーんか、嫌になってしもうてん。みーんな俺を白石と仲良くするための道具に使ってるんやないか思うてしまう
誰も俺になんて興味なくて、白石と仲良くなれたら、どーでもええ存在になるんやろなって
白石とも一緒にいにくい。白石が一人の時は、だーれも話しかけへんのに、俺がおるとみーんな寄ってくる
それも謙也と話にきましたー。みたいな態度やねんで。ホンマは白石目的のくせに
白石もそれがわかってるみたで、俺に謝ってくんねん。白石はなーにも悪くないのになあ
こっちが申し訳なくなるっちゅー話や
そう思ったら、全て嫌にやってしもうた」
謙也さんは人懐っこい性格で、お人よしで、人を疑うことを知らんくて、頼まれたら断れなくて、簡単に騙されてしまう。そんな人だ
そう謙也は優しい
こんな無愛想で生意気な俺にも優しく接してくれはった
人との関わりを避けてきた俺でさえも、この人とだけは、一緒にいてもええと思えた
だから意外やった。謙也さんもこんな風に思うことがあるんやと
もう人と関わるのが嫌だと思うことがあるのだと
でもそれは謙也さんのせいなんかやない。周りよっぽ酷かったんやと思う。思うやない。絶対そうや
謙也さんをここまで悩ませ、苦しめてるんやから
「なあ、謙也さん…」
「ん?」
「謙也さんがこれから、誰のことも信じられんくて、人と関わるのが嫌やって思う日がきても、お願いです。俺だけは信じてください」
「ざ…いぜん?」
「俺は、謙也さんやから傍におる。部長なんて関係あらへん。謙也さんの傍におりたい
ただそれだけや。せやから傍におったらあかんですか?」
謙也さんはそれは驚いた顔をしとった
ていうか、俺言うとることって、もう告白やん
まぁ、謙也さんは人一倍、いや、それ以上やな、とにかく鈍感やから、気づいてへんと思うけど
「俺は、謙也さんの傍におりたい。ダメですか?」
「財前…ホンマに白石抜きにして、俺の傍におってくれるん…?」
「当たり前です。俺は謙也さんがすきなんです。せやから、謙也さんの傍におりたいと思うのは、当然のことですわ」
「おん!俺も!俺も財前がすきや!」
思わずすきって言ってしもうたけど、この人完全にすきの意味間違っとるわ
ほんま、この人は鈍感やわ
まぁ、そこがかわええところで、憎めへんところなんやけど
「謙也さん俺のことすきなん?」
「当たり前っちゅー話や! 俺は財前がだいすきやで!」
「せやったら、俺とキスできます?」
「…え、」
「せやから、俺とキスできますかって聞いてるんやけど」
「き…キス?! ちょ、待ちーや!なんでそうなんねん! キス…キスって!」
「言いましたよね? 俺は謙也さんがすきですって。すきやから傍におりたいって
俺のすきってそういう意味なんですけど」
「そ…そういう意味て…」
謙也さんは完全に困った顔をしている
そりゃそうや。仲のええ、普通の後輩と思っとった奴に告白されて、驚かん方がおかしいわけやし
何より同性やし
「もちろん嘘とかネタとかやありませんよ。俺が冗談でこないなこと言わんて、知ってはるでしょ?」
「お…おん…」
「フルならフってください。長くなればなるほど、言いにくくなるやろ? それに自然に距離もできてまう」
所詮これは綺麗事で。本当は怖いだけ
謙也さんがもう傍にいてくれなくやるんじゃないかと
それが怖かった。そんな女々しい奴なんや、俺って
それに、今ちゃんとしておけば、たとえ恋人としてではなくても、後輩として、謙也さんの近くにおれる
そんなズルい考えしかできない男なんや
「なぁ、財前」
「はい」
「俺、今想像してみたんやけどな」
「はぁ」
「嫌やないんや」
「何がですか?」
「財前と…キス…するの」
「はぁ…ん?へ?」
「せやから、財前とキスするの、嫌やないかもしれへん…」
「それって…期待してもええんですか?」
「た…多分…?そう…やな…」
「そこは曖昧なんすね」
「や…やって!しゃーないやん!財前のことそういう風に意識したことなかったし…まだようわからん…」
「せやったら、試してみます?」
「試すって何を?」
「キス」
「は?」
「せやから、俺とキスしてみたらどうですかって言っとるんやけど」
そう言うと、謙也さんとひたすら、ポカーンとした顔をしとった
口を開けてほんま間抜け面で
でもそれがかわええ
あまりの可愛さに、耐えられなくなって、謙也さんの唇に自分の唇を重ねた
謙也さんは状況を理解できなかったのか、最初はフリーズ状態だったものの、状況を理解してから、あたふたして、俺から離れようとしとったけど、身体をがっちり抱きしめて、逃げられないようにしてやった
どのくらい謙也さんの唇に自分の唇を重ねたいたかわからない
でもそれは紛れもない事実で、本当に幸せやった
触れるだけやったけど、謙也さんの唇は柔らかくて、温かかった
本当にこのまま俺だけの唇になってしまえばええのに
「な…なに…すんねん…」
「キスのお試しっすわ」
「キスのお試しとか、そんな簡単に言うなや! お…俺…ファーストキスやったんやで…!」
「俺もっすわ。俺もファーストキス」
「財前も?」
「っすわ。初恋も謙也さん。こないに、誰かの傍におりたいって思ったのも、謙也さんがはじめて
俺のはじめてを謙也さんは仰山持ってはります」
ここまで言うと、謙也さんは顔を真っ赤にしてはった
真っ赤なりんごみないな、真っ赤や染まったほっぺも耳
それがほんまにかわええ。かぶりつきたい
まぁ、さすがにそんなことはせーへんけど
「もう一度言わせてください。俺は謙也さんがすきです。謙也さんの近くにおりたい。俺とお付き合いしてください」
これが俺の精一杯のことばで、キスして、からかって、余裕があるように見せとったけど、ほんまは緊張で、胸が張り裂けそうで、逃げられるなら逃げてしまいたいと、本気でそんなことを考えていた
「よろしゅうお願いします」
これは幻聴やろうか
よろしゅうお願いします…って言った…?
謙也さんが言った言葉が最初は信じられへんかった
「謙也さん…今なんて…」
「よろしゅう…お願いします…って…」
力のない今にも消えそうな声やったけど、間違えない。やっぱり幻聴やない
「俺でええんですか?」
「おん…財前じゃなきゃいや…ぅっ」
謙也さんの言葉を全て聞く前に、謙也の唇を奪った
それは触れるだけのキスではなくて、深くて濃厚なキス
何度も角度を変えて、謙也さんの味わうようにって言うと変態かもしれへんけど、味わいように、舌を絡めてみたり
あー、頭がクラクラする。でもこの感覚でさえも、謙也さんから受けたのもやと思うと、嬉しくて…
唇を話すのは惜しいけど、謙也さんも苦しいやろから、そっと唇を離した
謙也さんの顔は、またりんごみたいに真っ赤に染まっとった
美味しそうやなあ。なんて、まだクラクラしてる頭で考えていた
「ざ…財前…」
「はい」
「すき」
「はい」
「俺だけを、見てくれる?」
「はい」
そんな言われんでも、俺は最初からあんたしか見てへんのに
せやから…
「謙也さんも俺だけ見てください」
「おん!」
それはきっと、永遠の約束
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