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プロローグにしおりをはさみました!
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プロローグ
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『穢らわしい
ああ、なんと不愉快な事か……』
『ヴァイド様のお子でなければ食い殺していたのに……』
人の子など………
人の子………吸血鬼の皆は俺を人の子だと言う
けれど、人側からすれば自分は吸血鬼で
何処にも居場所などないのだ
何処にもいけない
存在すらも否定される
――――世界はどうして不平等で優しくないのだろうか
「ん……ん………はぁ……」
首筋から滴り落ちる血、甘くて美味しいそれを夢中になって貪る
吸血鬼の生きる糧だ
そして首筋に突き刺さった牙を抜き傷口をペロリと舐めとる
「もういいの?」
「ん……十分」
血を差し出していた男性、藜(あかざ)と彼の血を吸っていた少年、浬(かいり)
藜は浬の口から溢れた血を指で拭いその指をペロッと舐めとる
藜は30代前半くらいだろうか
落ち着いた雰囲気で綺麗な顔立ちをしている
対する浬は13歳くらいでこちらも綺麗で可愛らしい顔をしている
だがその可愛い顔には似つかわしくない鋭い牙が生えている
「藜は?」
「僕はいいよ
お前が満足ならそれでいい」
そう言って藜は浬の頭を撫でる
吸血鬼の住まうこの世界
人とは一定の距離を置き生きる彼等
けれど時には人に紛れて、しかし人とは決して相容れない存在である
彼等は人を餌のようにしか思っていない
中には人に触れることすら嫌がる吸血鬼もいる
そんな中で人と交わり子を成す吸血鬼もいて
その子供の一人が浬だ
吸血鬼にも人にもなれない存在
彼等はどうしようもなく居場所がない
人に紛れて生きようが吸血鬼は寿命が限り無く長く
若さを保ちながら長い時を生きている
故に混血の彼等も長い長い時間を若さと共に生きている為
人と共に生きる事など出来ないのだ
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