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春から夏へと移り変わる爽やかな風に心地よく吹かれながら瞳を閉じる。瞼の裏側へ、太陽の光が差し込むとオレンジ色に溶け込む暖かな感覚に浸りながら盛大なため息をついた。
──はぁ……今日も俺は鬱だ。
盛大な溜息へ隣に立っている影が不満を訴える。それでも俺はもういっちょ溜息をついた。
一体全体何なのかと聞かれれば思いつくことは山のようにある。悩ましい年頃なのだから色んな事に大して過敏だ。けれど悩みの中でも群を抜いて存在する問題が一つ。17になった今、人生で最大の危機的状況だと言っても過言じゃないほどの悩みが俺にはあるんだ。
人生最大の問題はそう、恋煩いという奴です。
「……一祈(いつき)さん今日も綺麗だな」
「……」
「なぁ、そう思うだろ?」
「そうだな。お前の目が飢えた野生動物みたいだな」
誰も俺の目についてだなんて聞いちゃ居ないが無視だ。俺は今、想いを捧げるお姫様を見つめているお陰で心が大変広い。何を言われても気にしない自信がある。
「飢えてるんだとしたら一祈さんとキスする夢を昨日見たからだな」
「……オツカレサマデス」
カタコトな喋り方をして心底気色悪いと言いたげに俺、紺野 純(コンノ ジュン)を見るこいつの気持ちも充分わかる。
何故かって俺が今こうして半ばストーカーと変わらない事をして見つめる先に居るのは部活で一緒の先輩。男の先輩だ。正真正銘のおっぱいも無けりゃ、癒してくれるキャラでも無い。どこからどう見ても偽りなきかっこいい男なのだから困った。そんな先輩相手に欲情している俺のムスコに困ったるんだ。
名前は、──鳳 一祈(おおとり いつき)さん。
俺の1つ上の先輩で、陸上部の副部長だ。
フットワークの軽い俺と直ぐに馴染むほど
おちゃらけていて気さくで面白くて俺はあっという間に懐いた。
端整な何処か冷たさ迄をも感じさせる整った見た目とは正反対な性格は、世で言うならば残念なイケメンだってクラスの女子が噂していた。
でも確かにその気持ち、分からなくもない。
一祈さん、猫目だし鼻高いし顔ちっせーし。見た目は美人だから顔だけのファンなら結構居るのに。
中身はもうほんとにほんとに残念過ぎてどうしようもない。
普通に「ちんこかゆい?」とか言っちゃうし、年頃の男子特有のあの下品で下劣で子供みたいな下ネタを振っても笑って答えちゃうような中身だ。
なのにまさか俺は、そんな先輩を見ていつの間にかドキドキするなんておかしな状況になっているわけだ。
ーー末期にも程があるだろ
「はぁ」
「辞めろ。 辛気臭いのが移る」
「はぁぁ」
「チッ辞めろって言ってるだろ」
「ああ?振られた事もない、女に困った事もない、とりあえずモテモテなこの俺がねぇ」
「……」
「初めて本気で人に惚れたのに」
「…………」
「相手はまさかの男……」
「…………………」
「どうしたらいいと思う?」
「とりあえずその糞ウザイ性格から何とかしろよ」
「俺がイケメンでモテるからって嫉妬か?」
「ハハハ。 その顔100回は殴って凹ませてやりたい」
「100だろうが200だろうが俺の顔は崩れないだろうなぁ」
「うっわー……すげぇうざいなお前。 ほんと死ね、二回は死ね。 それからついでに臭い」
俺の顔を鷲掴みにしてギリギリと握り締めてくる友人はまあ置いとくとして。
俺の人生本当にイージーモードだった。
家も裕福な家庭だし、親父は会社の社長だし金もある。
両親健在だしクソな姉貴は居るけど何不自由なく暮らしてきた。
おまけに両親譲りのこの顔は昔っからちやほやされて今ではファンクラブあるほど。
性格は自分でも認めるけど捻くれてるってのは見ないことにして。
女に困った事もないのに恋愛なんてもんただの暇つぶし程度だったのに……
まさかノンケの俺が男に恋するとは夢にも思わなかった。
それも本気で。
あの人以外欲しいと思わないんだから重症だ。
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