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監視(ミ)られている、傍観(み)られているにしおりをはさみました!
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監視(ミ)られている、傍観(み)られている
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「おはよー壱!今日もよろしくな」
「おはようございます」
「どうした?眠いのか?」
「水蘭田君、昨日あのあとちゃんと寝た?」
「…寝ましたよ」
当たり障りのない返事を返しておく。
事実、ストーカーからの手紙が気になってあまり眠れてない。
「辛かったら言ってくれ。医務室なりすぐに運ぶ」
「お気になさらずッス」
壁に寄り掛かり、演技を眺める。
少しでも気を抜くと、意識を持っていかれるから、途中何度か指を噛んだ。
「次、殺陣指導お願いしまーす」
「わかりましたー…」
日本刀を携え、舞台に向かう。
「じゃあお願いしまーす」
「台詞からどうぞ」
「あ、あぁ…」
不馴れな学生を演じてもらう為、台詞から入る。
「『あいつが敵将…』」
「『──殿、如何なされますか』」
「『勿論、倒す!』」
「っはい、ここから殺陣シーンッスけど、今日は俺がスピード落として押していくんで、思ったように太刀を振ってもらって大丈夫ッス。後々修正しますから」
「りょうかーい」
今回のシーンは、最初は敵将に圧されるが、背水の陣らしく、終盤敵将は圧される。
「『どうした?圧されてるぞ?』」
「『ちょ、待って待ってタンマタンマ!』」
「『ふざけたことを抜かせ!』」
次の次、俺が圧していき、後ろの水面まで押す。
「『貴様の命、貰い受けようではないか』」
「『やだね!』」
「『なっ…?!』」
ここから逆転されていく。
喉元に宛がわれた刃と、鼻のくっつきそうな距離。
「『形勢逆転、だな』」
「『くっ…!ならばさっさと俺を斬れ!』」
「『やだね』」
「『なっ…』」
「はいカット!」
その声に、主人公が短く息を着いた。
「お疲れ様ッス」
「壱ぃ、お前台詞覚えてたの?」
「まぁ…その方が合わせやすいでしょ」
「俺の為?」
「…勤務時間外まで殺陣指導に付き合わされない為」
「ツンデレなの?!壱可愛いっ!」
「うるせぇ」
寝不足の頭に嫌と言うほど声が響く。
「水蘭田君お疲れ様」
「…どうも」
「そう言えば、さっき受付に君宛に何か届いてたようだから、預かっておいたよ」
「あぁ、どうも」
何のへんてつもない小包を受け取り、ディパックに入れる。
「中身、見ないの?」
「仕事中ッスよ」
「真面目ぇ」
「うるせぇッス」
「あとで中身、差し支え無かったら教えてよ」
「いいッスけど……」
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