アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
支えにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
支え
-
来夏は目を大きく見開くと、静かに下を向いた。
その睫毛が小さく震えているのが見える。
「…ははっ、どうしたの?突然。もうやめてよ、いきなりそういうこと言うの」
来夏が冗談っぽく笑う。だが、その頬は引きつっていた。
「来夏、冗談じゃないんだ。…僕は、和哉のことが好きだ。それなのにいつまでも来夏に寄りかかるのは……よくない」
来夏がはっと息を呑むのが聞こえた。
それを合図にするようにして、彼の双眸からほろほろと涙が零れ落ちる。
「………やっぱり、涼ちゃんにもう気持ちがない以上無理だよね。ごめん、涼ちゃんの居場所になれればそれでいいって勝手に思ってた。俺の……エゴだ」
「いや、自分勝手なのは僕だ…!だから、離れなくちゃいけないと思ってる。来夏にいつまでも甘えていられない」
来夏は再び下を向くと、でも、と切り出した。
「俺は、ずっと涼ちゃんのことが好きだから。涼ちゃんと別れたって、ずっと涼ちゃんが好きだから。恋人という関係でなくなっても涼ちゃんが苦しんでいる時はいつでも助けたいし居場所になりたい。だから」
来夏の潤んだ瞳に捕まる。
「……涼ちゃんも、甘えていいんだよ」
来夏が苦しげにはにかむ。
その時、はじめて涼真は自分の肩が強張り、小刻みに震えていることに気づいた。
「これは、俺のエゴだけど、別れても俺たちは……親友、だし、辛い時は支える。だから、一人で何でも抱え込もうとしないでね」
来夏はもう一度涼真のくせのある髪に指を絡めると、切なげに笑って涙を拭った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
90 / 92