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駆け落ちの始まりにしおりをはさみました!
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駆け落ちの始まり
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俺の家は普通より裕福で、俺が14歳の時に許嫁が決まった。正直タイプじゃない女の子。外野からすればお金持ちのお嬢様と結婚は羨ましい限りだろうけど...俺はやっぱり、家計より、顔より...貧乏でも好きな人と一緒になりたい。
「はぁ...」
俺の身長より少し高めの鏡の前に立ってネクタイを締める。今日はその子との婚約パーティがあるらしい。真っ白のタキシードなんて初めて着た...いつもならここで...
“ははっ...似合ってねぇな”
そう言いながら笑って俺の頭を撫でてくれるあの人が隣に立っている筈なのに。俺の、好きな人...俺の2つ年上で専属SPをしてくれていた男の人。俺の婚約を唯一反対してくれた人...そして、そのせいでクビになって追い出されてしまった人。
「真琴さん...」
彼の名は、神崎真琴(かんざき まこと)さん。年下の俺を弟みたいに可愛がってくれた。名前を呼ぶだけで涙が浮かんでくる。俺の為に反対してくれたのに、俺のせいでクビにさせてしまった。会いたい...だけど会わせる顔がない...
コンコンッ
「っ、はい...」
零れそうになる涙を拭ってノックされたドアの方を見る。恐らく父親か、母親か...執事さんだろう。そろそろ時間だから呼びに来たのかもしれない。
「幸斗、そろそろ時間だよ」
「うん...分かってる」
「先に行っているから」
「うん」
父親がそう言ってドアを締める。短い会話。小さく溜め息をついてネクタイを締め直す。これで、本当に終わりだ。もう真琴さんと会う事も無いだろう。せめて思いを伝えたかった...
ヒュゥッ...
「んっ...?」
ドアに手をかけた時、後ろから風が吹いた気がした。窓、閉めてなかったかな...
「よっ、幸斗」
「...えっ?」
後ろを振り向いた時そこには、窓を開けて俺に向かって手を挙げる真琴さんの姿があった。
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