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ふたりにしおりをはさみました!
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ふたり
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「…ん」
カーディガンを着たまま眠っていたらしい。
背中に感じるしっとりとした布の感触に、思わず顔を顰めながら布団から這い出る。
まだ始まったばかりの冬は気紛れだ。
ベットに腰かけて、フローリングに足をのせる。その冷たさに安堵していると後ろからもそもそと身じろぎするような音が聞こえた。
「…起こしちゃった?」
「んーん……朝陽、おはよう」
寝起き特有の、掠れた声。
布団から顔だけを出してそう言う様子がなんだか亀みたいで、僕は笑いながら滑らかな頬の感触を味わった。
ちょうど手元に転がっていた携帯端末のロック画面を見つめながら言う。
「おそよう、みたいだけどね」
「……いま何時?」
「10時」
「うわ」
「朝ごはんの時間、終わっちゃったね」
「んー…そっか…」
少し考える素ぶりを見せたかと思えば、頬を撫でていた手を掴まれ布団に引っ張りこまれる。
一晩かけて二人分の熱をはらんだシーツはやっぱりあたたかくて、心地いいのだけれど。
「っ…こら、今日は水族館に行くんだろ」
「まだ時間があるよ」
「そんな、っ、…ん」
唇を割る舌に文句を封じられるのはいつものこと。
「ふ…ぁ、……」
ちゅ、と音を立てて離れた唇を目で追う。
きっともう、僕は抵抗できないだろう。
「昨日はおあずけ食らっちゃったし…1時間くらい、もらってもいいよね?」
「…やだって言っても、聞かないんだ、ろっ…」
腹を撫でる冷たい手のひらにクラクラする。
もう、だめだ。
「よく分かってるね」
「っ…いち、1時間…だけ、だから…」
「うん」
「夕…ゆう…」
「朝陽…、
愛してる」
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