アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
共通⑧にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
共通⑧
-
「んっ………?」
ああ、そうだ。ここは李久の屋敷だ。
理は改めて自覚した。
サイドテーブルに置いてあるアンティークの時計を確認するとちょうど午前5時。
そのまま二度寝すると起きられない気がしたので理は屋敷の中を散歩することにした。
時々屋敷の家来にすれちがっても皆一様に挨拶をするだけで特に驚きもしなかったので、事前に理が屋敷にくることを知っていたと思われる。
それにしても退屈だ…
理はこのままだと暇潰しにならないので、昨日屋敷の外で見かけた薔薇が見たいと思い、薔薇園に行くことにした。
裏口は庭師が出入りするためか鍵はかかっていなかった。
外へ行くと深紅の迷路が広がっていた。
どれも整っていて庭師の腕前を感じる。
瞳を輝かせ辺りを散策していると、
「あれ、見かけない顔だなぁ。君は…?」
突然、庭師と思われる青年が話しかけてきた。
青年は赤銅色の髪に萌木色の瞳で背は立花より少し高く、少しがっしりした体に焦げ茶色のツナギを着ている。
何よりも特徴的なのは頭に白いタオルを巻いているところだ。
見た目からして年上だということは容易に理解できたので理は敬語で応答した。
「深谷 理と申します。昨日からここにお世話になることになりました。」
「俺は赤松 凪人。ここの庭師だ、よろしくな。ああ、理、俺には敬語使わなくていいよ。身分的には俺の方が下だからな。それにお前と仲良くなりたいし。」
凪人はさわやかな笑顔で行ってのけた。
理はその言葉に甘えることにした。
「うん、よろしくね、凪人。薔薇園の手入れ、一人でやってるの?」
「ああ、基本的には一人だな。」
「俺、手伝いたいんだけどいい?教えてくれればなんでもやるから!」
「うーん、わかった。とりあえず明日からやってくれるかな?」
「わかった!!」
理は笑顔でスキップせんばかりに歩いた。これで毎日綺麗な薔薇が見放題だ。
「可愛いなぁ…………」
距離が離れていて、理には凪人の笑みと呟きなど知るよしもなかった…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 10