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5月14日(木) 想いの名前にしおりをはさみました!
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5月14日(木) 想いの名前
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「───それは、コイ」
「!?」
雛貴の言葉に、僕はシャーペンを取り落とした。
「?…どうしたの、柊」
現国の先生が風邪を引いて、自習になった2限目。
僕は後ろの席の仙座と机をくっつけて、椅子だけ持ってきた雛貴と3人で課題に取り組んでいた。
「なにぼーっとしてんだよ、そこ」
仙座が僕のプリントをペン先で叩く。
「コイだぞ、コイ」
「……」
プリントに視線を移すと、漢字の読みを答える問題に"鯉"とあった。
「…ああ、鯉…コイな」
…なんだ、読み方のことか。
「っていうか、おまえそれ全部間違ってるぞ」
「え!?」
「ほんとだ…柊……」
仙座と雛貴の哀れみの視線が刺さる。
「……」
とりあえず、プリントにひらがなで"こい"と書いて、僕は手を止めた。
───恋。
雪町へのこの想いはきっと。
それ以外のなんでもない。
───どうして、気づかなかったんだろう。
いや、気づいてはいた。
その名前を、意識していなかっただけだ。
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