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人狼編(終)にしおりをはさみました!
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人狼編(終)
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6日目・夜
残り人数 4人
シン
ミズキ
ミナト
×ナオキ
×ヤス
×エドガー
×ユタカ
×コタロウ
×ユウスケ
×ユキト
×ケイゴ
・これまでのまとめ
1日目・夜
ナオキが襲われる。
2日目・昼
ケイゴが占い師を名乗りヤスに黒出し。
ヤス、占い師を名乗るも撃沈する。
2日目・夜
エドガーが襲われる。
3日目・昼
コタロウがスパイを名乗りヤスのゲイを証明。
ケイゴ、ミズキに白出し。
ユタカが追放される。
3日目・夜
コタロウが襲われる。
4日目・昼
ケイゴがシンに白出し。→偽占い師と判明
ユウスケが追放される。
4日目・夜
ユキトを襲おうとするが失敗。
5日目・昼
ケイゴがユキトに白出し。
シン→ゲイ
ケイゴ→腐男子
ユキト→腐女子
それぞれカミングアウト。
ユキトが追放される。
5日目・夜
ミナトを襲おうとするが失敗。
6日目・昼
ケイゴが追放される。
俺は、ミズキのコテージの前で立ちすくんでいた。
ミズキのコテージには、鍵をかける場所すらない。ボディーガードが自分のコテージに籠城するのを防ぐためだろうか。他人を守るのが仕事だからな。
「どうしたの?シンくん。早く入りなよ」
いつものごとく、透の声がした。気づけばすぐ横に立っている。
「ここでミズキくんを襲えば、ゲームは終わりだよ。何を迷っているの?」
「…ヤスと、付き合えるのに」
「そうだね。このゲームに勝てば、付き合えるね。何も問題ないよ!」
「ヤスと付き合えるのに、他の人とやるのは嫌だ…」
勝利を目前にして、またしてもそんな気持ちが湧いてきたのだ。
もう随分汚してしまったけど、なるべく綺麗な状態でヤスと再会したい。
それに、この様子は映像として撮られている。ヤスに見られたくない。
「もー、シンくんはとんだわがままボーイだな!仕方ない。許してあげよう」
「ほ、本当か!」
「でも、ここでミズキくんが襲われないと、今後の計画に支障が出ちゃうから、代打を立たせることにします」
「代打…?」
「おーい、来ていいよー!」
透が暗闇に声をかけると、なんだか不気味な生物が姿を現した。
俺と同じくらいの大きさだが、数本の触手をゆらゆらさせており、全身がぬめぬめとしている。
「な、なにこれ…」
「僕のペット!かわいいでしょ」
「い、いや…」
「そっか。かっこいいよね。男の子だもんね」
「そ、そうではなく…」
「シンくんの代わりに、僕のペットのカモくんにミズキくんを襲ってもらうことにします」
「カモくんって…息子と同じ名前?!」
「いい名前だよね」
「はあ…」
透のセンスがよくわからないが、これで済むならいいだろう。
そう考えていると、透はそれを見透かしているかのように、笑いかけた。
「でもね、タダで使わせてあげるわけにはいかないな」
「え…?」
「カモくんに襲わせる場合、100万円を請求します」
100万円…?!
「そ、それはバイト代よりも…」
「高いね。でも、シンくん払えるでしょ」
「お金は…あるけど…」
「シンくんは病的なほどケチだもんね。たんまり持ってるよね。使えないだけで」
「……」
俺はとある事件以来、貯金をしないと生きていけないような体質になってしまった。
無駄遣いなんて絶対にできない。
とにかく、貯めて、貯めて、貯めまくらなければ…
「…出せないよね、100万円。じゃ、シンくんは自分で襲うということで」
「出す」
「え?」
「出すよ」
深呼吸をして、ポケットに手を入れ、鍵を取り出した。
「この鍵は、俺の家にある37番目の金庫の鍵だ。その中に100万円入ってるはずだ。これをやる」
「いいの?家に帰って、金庫が1つなくなってたら、パニックになるんじゃない?今まではほとんどお金を使わずにちまちま生活してたのに」
「いい。これは、必要なお金だから」
「そっか」
透は俺の手から鍵を受け取り、カモを連れ、ミズキのコテージの扉を開けた。
「ほら、カモくん、行っといで!」
シューっと音を立てながらカモはミズキに襲いかかった。
「え、な、なにこれ?!シン?シンなの?!いやー!」
ミズキが悲鳴を上げているが、透はそれを無視してコテージから出て、再び俺の前に立った。
「それじゃあ、行こうか!船でみんなが待ってるよ」
「…ああ」
船の前では、鴨が待っていた。
「おめでとうございます。ゲイの数とノンケの数が同数になったので、ゲイチームの勝ちです。ゲームはこれにて終了となります。こちらへどうぞ」
鴨はぺこりとお辞儀をして、船の中の一室へ俺を案内した。
「この部屋の中にいて下さい。港に到着したら、また呼びに来ます」
「じゃあね、シンくん!また会う日まで」
「二度と会うものか」
透と鴨に背を向け、乱暴に扉を開けた。
そこには、懐かしい、ずっと会いたかった人がいた。
「やあ、シン!やっと会えたね。一人で頑張ってくれてありがとう」
「ヤス……」
「え、どうしたの?シン、泣くなよー!」
「だ、だって…」
数日会わない間に、俺の想いはずっと強まっていたようだ。
ヤスに会えてこんなに嬉しいなんて、会えただけでこんなに嬉しくなれる人ができるなんて、想像もしていなかった。
涙が止まらない俺を、ヤスはぎゅっと抱きしめてくれた。
「ごめんな、1人で心細かったよな」
「う、うん。でも俺、ヤスのために、頑張ったから…」
おそるおそるヤスを見上げる。
「これで、ヤスの彼氏になれるんだよな?」
ヤスはにっこりと笑った。
「もちろんだよ。シンと付き合えて嬉しい。大好きだよ」
その言葉に胸がいっぱいになる。
「じゃあ、船が着くまで一緒にお話でもしようか。シン、そこらへんに腰掛けなよ」
「ああ、ありがとう」
上着を着たままだったことに気づき、どこかにかけられる場所がないか探すと、部屋の隅にクローゼットがあることに気づいた。
「ちょっと上着しまうよ。あれ使ってもいいよな」
「うん。いいと思……あ、待って!」
「え?開けちゃった……え?」
クローゼットを開けると、なぜか見覚えがある顔と目が合った。
「あー、なんていうか…久しぶりだな」
「ひ、久しぶり…?」
クローゼットの中に、タカシが潜んでいた。
前回のゲームの時、ヤスと一緒にゲイチームにいた男だ。
「ヤス、これは…?」
「えーと…まあ、紹介しておこうかな。俺の彼氏のタカシだよ。シンが来るっていうから、クローゼットに隠れててもらってたんだけど」
特に顔色を変えることもなく、ヤスは淡々と説明する。
「は…?彼氏…?俺は?」
「シンも大切な彼氏だよ!」
「…も?ヤス、彼氏何人いるんだ?」
「うーん…」
ヤスはしばらく考えこむ素振りを見せていたが、数秒後、にこっと笑った。
「わかんないや。数えたことないし」
「え…」
「シンもタカシも両方好きだから、両方彼氏!それでいいだろ?」
あまり悪気がなさそうなヤスの笑顔に、俺はなんとも言えないむなしさを感じて崩れ落ちた。
「とりあえず、記念に3Pでもしようか!」
「誰がするかー!!」
彼氏になってくれたけど、俺だけのヤスってわけにはいかなさそうだ。
だけど、諦めたくない。どんなことがあってもヤスのそばにいつづれば、いつか俺だけを見てくれるようになるんだろうか。
全く気が遠くなる…。
〜人狼編・終〜
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