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人狼vs狩人編(1)にしおりをはさみました!
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人狼vs狩人編(1)
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side:アラン
エドガー先輩は、いなくなって2日経つと、突然帰ってきた。
急にいなくなることは今までもあったから、さほど心配はしてなかったけど、帰ってきたエドガー先輩の様子はなんだかおかしい。
「先輩、どうかしたんですか?」
あれから何日か経った今でも、その様子は変わっていない。
頻繁にぼーっとしていたり、夜どこかへ出かけていたり。仕事に支障をきたしていないから、まだよいのだけど。
今も、心ここに在らずといった状態だったので、声をかけたらはっとしたように僕を見た。
「いや、なんでもない。ちょっと疲れているのかもしれないな」
「そうですか。僕、心配です」
疲れているのなら、と思って肩を揉もうと手をかけたら、さっと払いのけられてしまった。
「先輩…?」
「あ…悪い。びっくりしたから」
そう言ってぎこちない笑顔を浮かべる。
原因は何なのだろう。いなくなった2日間のうちに、何があったのか。
僕はエドガー先輩にはいつも元気でいてほしい。僕にできることがあれば、なんでも言ってほしい。
でも…僕には何も言ってくれない。
「先輩…お茶でも飲みますか?気持ちがリラックスする紅茶を買ってきたんですよ」
「…ああ。ありがとう」
紅茶を入れようとしたとき、インターホンが鳴った。
「あらら。お客さんですね。僕行ってきます」
紅茶はお客さんにも出してあげようかな、と思いながらドアを開けると、そこには見覚えのある人が立っていた。
「こんにちは。エドガーくんいる?」
「…どちら様でしょうか?」
「ふふ、失礼。僕は透だよ。エドガーくんにもそう言えばわかると思うよ」
この人は、エドガー先輩がいなくなったときに来ていたお客さんだ。
…守らなくちゃ、僕が。
「エドガー先輩は今取り込み中です。また日を改めて…」
「おい、どうしたんだ、アラン」
あちゃあ。先輩出てきちゃったよ。
「お前…」
エドガー先輩は透を見て険しい顔をしている。
やっぱりこの2人の間には何かがあったんだ。
「やあ。突然だけどね、君に依頼したいことがあるんだ」
エドガー先輩はちらりと僕を見る。
「…外で話してくれ」
「うん!素直でいいね。ヤスくんのところに行って話そうか。僕の家で待ってるから」
エドガー先輩が怪しげな人の家に連れて行かれてしまう!
僕はエドガー先輩の腕をぎゅっと握った。
「僕も行きます。助手なので」
「…アラン」
エドガー先輩は苦しそうな顔をした。
「お願いだから待っていてくれ。数日いなくなるかもしれないから、留守を守ってほしい」
「先輩…」
そう言われてしまうとついていけない。ふと透を見ると、なぜかにやにやしながら僕を眺めていた。
「じゃあエドガーくん、行こうか。ごめんね、アランくん。数日君の先輩を借りるよ。大丈夫、悪いようにはしないから」
2人は外に出てしまった。
…今回は、このままじゃ終われない。
僕はスマホを取り出し、地図を開いた。そこには赤い点が表示されている。これはさっきエドガー先輩にこっそり忍ばせた発信機の位置を示している。
バレたら怒られそうだけど、エドガー先輩のためなのだ。
少し時間を置いて、僕は出発した。
エドガー先輩たちは、歩いて向かっているようだ。点はゆっくりと動いている。そんなに遠くには行かないということか。
同じくらいの速度で僕も追いかける。
「…ちょっと、君」
「はい?」
追いかけていると、突然後ろから声をかけられた。いらっとしながら振り返ると、背の高い男の人が立っている。
「尾行してるでしょ。困るなあ」
「…え?」
誰だ、この人は。
「先輩が気になるのはわかるけど、尾行はだめ!」
そう言ってその男は僕のスマホを取り上げてしまった。
「どうして尾行したらだめなんですか?」
「ど、どうしてって…」
「僕はただ、先輩が心配なだけなのに。先輩を守りたいだけなのに…」
しゅんとしていると、男はなぜかおろおろし始めた。
「あー…まいったな。なんだかかわいそうだ」
「はい。僕かわいそうですよ」
「うーん…君、エドガーのことが好きなの?」
「好きですけど」
「そうじゃなくて、恋愛として」
「は…?」
何を言っているんだろう。エドガー先輩も僕も男なんだけど…。
「君は男が好きなわけではないんだね?」
「そうですけど…」
「…じゃあ特別に、エドガーのところへ連れて行ってあげるよ」
「ほ、本当に?!」
ぱっと男を見上げると、男はため息をついた。
「ああ。きっと透も面白そうとか言って許してくれると思うし…」
「透って人と、知り合いなんですか?」
「というか、えーと…家族だよ」
男は再び深くため息をついた。
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