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3人人狼編(1)にしおりをはさみました!
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3人人狼編(1)
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side:アラン
どうすれば。一体どうすればこの状況から抜け出せるのだろうか。
「おーい!新井くん!待った?」
大きく手を振りながら駆け寄ってくるヤスを見て、僕は大きくため息をついた。
「待ってないですけど…人目があるときはアランって呼んでくださいって前にも言いましたよね?」
「あはは、ごめんごめん。でも俺も、敬語を使うのはやめてって言ってたよね」
「敬語なのは癖なので…それに、ヤスさん年上ですし」
「俺たち、付き合ってるんでしょ?敬語もさん付けも嫌だな」
「はあ…」
なぜかヤスと付き合うことになってから数週間が経った。
何回かデートをさせられ、ほぼ毎日LINEが送られてきて、逃げ出すタイミングすら見つからない。
このままではまずい。意外なことにまだキスもしていないけど、いずれそういう方向に進展してしまうかもしれない。男とそんなことをするなんて、絶対に嫌だ。
唯一よかったことは、エドガー先輩が無事だったことだ。これまでと変わらず、一緒に仕事ができている。
彼氏ができてしまうのと引き換えに、エドガー先輩との楽しい生活を確保できたと思えば、安いものかもしれない…。
「アラン、ぼーっとしてるね」
ふと気づくと、目の前にヤスの顔があってぎょっとした。
「何考えてたのかな?」
「なんでもない。それより、今日はどこへ行くんだっけ」
「あ!敬語じゃない!」
「ヤスがやめろって言ったから…」
「あ!さん付けじゃない!」
「…元に戻しますよ?」
「えー、ごめん!アランの反応が可愛いからつい」
「はあ…」
可愛いって…よくわからない。
「それで?どこへ行くの?」
「今日は俺の友達を紹介するよ。そして一緒に南の島へ行こう」
「南の島か…」
「あれ?あんまり嬉しくなさそうだね。もしかして…二人っきりのがよかった?」
「ああまあ」
島と聞くだけで、ゲームのことを思い出して憂鬱になる。
まあでも…偶然の一致だろう。いくらヤスでも、デートとか言ってあのゲームに参加させたりはしないはずだ。思ったより常識ありそうだし、優しそうだし。透がひどいこと言ってたから、どんな悪人かと思ってたけど。
「そっか。ごめんね、気が利かなくて」
「謝ってるのに嬉しそうだ」
「アランがそんなこと思ってくれてるなんて思わなかったからね」
ヤスは柔らかく微笑んで頭を撫でてきた。
人目があるんだから正直やめてほしい。
「じゃあ、行こうか。友達とは、そこの建物で待ち合わせてるんだよ」
ヤスが指したのは何に使っているのかよくわからない白い建物だ。
「えっとここは…?」
「部屋がたくさんある建物だよ。友達はこの中の部屋で待ってるんだ」
「ほう…」
僕が立ちすくんでいると、ヤスは腕を引っ張った。
「どうしたの?」
「な、なんかここ怪しいというか…帰りたいというか…」
「そういえば、アランと会ったのも怪しげな建物だったよね。今まで不思議に思ってたんだけど、どうしてアランって俺とエドガーのことを知って…」
「ヤヤヤスさん!」
「ん?」
「早く中に入りたいな!ほら、行こう!」
「ふふ、いいよ」
危ないところだった。僕とエドガー先輩のつながりは隠さなくちゃいけない。全ての前提が覆ることになるからな。そうなると最悪、タイムスリップ?のことがバレて、元の時間軸に戻されてしまうかもしれない。
建物の中は、不自然なほど殺風景だった。ヤスの言っていた通り、ただ廊下とたくさんのドアがあるだけだ。
「こっちだよ、アラン」
ヤスは迷いなく1つのドアに向かって歩いていく。
「中に入ろうか。鍵は開いてるって言ってたから」
誰が言ってたんだろう?
その疑問を口にする前に、ヤスはドアを開け、部屋の中にいる人物が目に飛び込んできた。
「シン…」
「あれ?知り合い?」
ヤスが嬉しそうな顔をして振り向く。
シンは怪訝そうに僕を見つめた。
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