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3人人狼編(12)にしおりをはさみました!
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3人人狼編(12)
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3日目・夜つづき
side:シン
ヤスに部屋から追い出され、仕方なく1人でショウヤの部屋へ向かう。
ヤスの考えてることはよくわからない。
どうして簡単に浮気してしまうのか。どうして恋人が浮気してもいいなんて言うのか。どんな風に生きてきたらあんな考え方になるんだろう。
そんなことを思いながら歩いていたら、後ろからたったったっと誰かが走ってくる音がした。ぱっと振り向くと、ヤスが近づいてきていた。
「…ヤス?」
「ごめんな、さっき追い出しちゃって」
「うん…」
ヤスは少し息を落ち着けた後、ポケットから瓶を取り出し俺に渡した。
「昼に色々あって、シンにも色々言われて、正直今混乱してるんだ。でもとりあえず…これをあげるよ」
「これは…?」
「もしシンがショウヤとセックスしたくないなら、この瓶を部屋の外から投げつけて逃げればいいよ」
「あ…ありがとう」
「俺は部屋に戻ってる。またな、シン」
「ああ…」
気遣い…なんだろうか?俺がヤスを責めたから?
瓶は小ぶりで黒色で、中に何が入ってるのかよくわからない。でもさすがに危険な物は渡さないと思うし、使わせてもらおうかな。紙を渡された理由も気になるし、少し事情を聞いた後で。そう考え、俺は瓶をズボンのポケットへ押し込んだ。
ショウヤは俺が来ることをわかっていたからか、電気を点けてベッドの上に腰掛けて待っていた。
「お、おじゃまします…」
「強姦しに来たくせに丁寧だな」
おそるおそる部屋に入ると、ショウヤに冷たい目で睨まれた。
「あんな手紙渡されたら、一体どんな意図があるのか気になるからな」
「…とりあえず、こっちに来い」
呼ばれるままに、俺はショウヤの隣に座った。
何か話すのかと思いきや、ショウヤは黙ったまま下を向いている。俺は沈黙に耐えられず口火を切った。
「その…ショウヤはどうして気づいたんだ?俺がゲイだって」
ショウヤは下を向いたまま答えた。
「気づいたんじゃない。…思い出したんだ」
「は…?」
思い出す?
何を??
「シンは思い出してないんだな」
「何の話だ?」
「今は説明できない。後で透にでも聞け」
「はあ??」
どうやらこれ以上話す気はないらしい。それならもう用はない。瓶を投げつけて帰ることにしよう…。
俺がそう考え立ち上がろうとしたところ、ショウヤが俺の手首を握って無理やり座らせた。
「待て。話がある」
「話…?これ以上何の…」
「付き合ってくれ」
「……え?」
ショウヤは、いたって真剣な表情をしている。
「聞こえなかったか?付き合ってくれと言ってるんだ」
「い、いや、聞こえてるけど…。あれ?ショウヤってノンケだよな?」
「そのはずだったが、シンを好きになってしまった」
「な、なんで…?」
少し頬を染めながら話すショウヤ。でも俺には全く心当たりがない。大した会話はしていないし、そんなそぶりはなかった。
「…なんでって?」
「きっかけとか、一体どこを好きになったのかとか、全然わからないから、騙されてるんじゃないかと…」
「………」
ショウヤは目をそらし、何かを考えている様子を見せたあと、ぽつりと言った。
「…独り占めしたいと思った」
「ひ、ひとりじめ…」
「もっといろんな表情が見たい。何を思っているのか知りたい。もう一度…あの時のシンに会いたい。……そう思った」
「あの時…?」
また、心当たりのないことだ。
「それは…またいつか説明するから。とにかく、付き合ってほしい。俺と一緒にいてくれ」
ショウヤは俺の目をまっすぐに見てそう言い切った。
だが…俺はこう答えるしかない。
「…ごめん。彼氏いるから」
「……は?」
ショウヤはあまり見せないであろうぽかんとした表情を見せた。
「彼氏、いるのに、こんなことしてるのか?」
「…あ」
「軽蔑した。心から軽蔑した」
「ち、違うんだ」
「帰れビッチ」
「違うってば!」
思わず大声を上げてしまった。
「じゃあ、何?」
ショウヤはイライラした様子で俺を睨む。
「彼氏に、やらされてるんだ」
「え…?」
「俺は騙されてここに連れてこられて、ゲームに参加させられてるんだ。本当は強姦なんてしたくないし、彼氏以外の人とセックスするのは嫌だ。でも参加すれば…彼氏が喜ぶから…」
「頭おかしいでしょ。お前も、お前の彼氏も」
「だって俺は…逆らえないし…」
「逆らえよ。断ればいいだけだろ」
「そんなのできないよ…。あいつには他にもたくさん彼氏がいるから、喜ぶことしないときっと飽きられる」
「お前の彼氏、浮気してるの?」
「う、うん。みんなのことが好きだから、1人に絞ることはできないって」
「はあ…」
ショウヤは呆れたようにため息をついた。
「お前はそれでいいのか?それが幸せなのか?」
「幸せって…」
「客観的に見て、お前は彼氏に愛されてるようには思えない。なんでも言うこと聞く便利な相手ってだけだ。その状態でいいのかって聞いてるんだ」
「そんな、そんなこと…ヤスはそんな…」
「…ヤス?あいつが彼氏なのか」
つい、口を滑らせてしまった。まあバラしてしまってもヤスは怒らないだろうけど。
「ますますおかしいぞお前ら。カップルでこんなゲームに参加するなんて」
「う……」
言葉が出せない。言い返す言葉が見つからないわけではない。口を開くと、涙が出てしまいそうだからだ。
ショウヤに言われなくてもわかってる。ヤスの言う好きは、俺が期待する好きとは違う。ヤスから愛されているなんて、到底思えない。
うつむいて涙をこらえていたら、ショウヤにあごをつかまれ、上を向かされた。
「辛いなら、やめればいい」
「やめる…?」
「俺はシンだけを愛している。愛される幸せを感じたくはないか?」
「あ…」
ショウヤの顔がゆっくりと近づいてきて、唇同士が触れ合った。そして一瞬のうちに離れていく。
「ショウヤ…」
そのとき、ヤスのことは頭から消えてしまっていた。
俺は吸い寄せられるように、ショウヤの胸に抱きついた。
ショウヤの腕が俺の背中に回され、全身に温もりを感じる。
「なあ、気持ちいいだろ?愛されるって。安心するだろ?」
「……うん」
「じゃあ、付き合ってくれよ」
「…でも」
これじゃだめだ。今の俺は、ヤスについて色々と責められて、寂しくなってるだけだ。
「シンは、俺といたほうが幸せになれる。俺なら絶対シンを幸せにする」
「……でも」
このままじゃ、流されてオッケーしてしまいそうだ。それはだめだ。それは…
だめか?本当に?
「流されてもいいのかな…」
そう呟いたが、ショウヤからの返事はない。自分で、決めなくては…。
…正直、違和感は感じていた。
ショウヤに抱きついたとき、ズボンのポケットの辺りに、何か硬いものが入っていることに気づいた。
これはなんだっけ?何を入れてたんだっけ?
思い出せないまま、ショウヤに抱きしめられ、体勢が変わったことによって硬いものがだんだんと滑るような感覚がして…
ガチャン、と音がした。
はっとしてショウヤから離れ、音がした方向を見ると、見たことのない生物が触手をくねらせながら立っていた。
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