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おっさん。にしおりをはさみました!
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おっさん。
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「誰だアンタ」事件から一日、結局彼とは連絡を取れていない。
自分から掛けても繋がらず、向こうから掛けてくることも無かった。メールは何か気まずかったのでやめた。
おっさんと、2回も言われた。いやまぁ、正解なのだが、おっさんとあらかじめ他人に言われると何だか心が切ない。
彼は、ただ娯楽で僕をからかっただけなのだろうか。いや、それは無い。
僕のサインを貰う時に持って来ていた小説。
何度も何度も読み込まれ紙が薄くなり、さらに捲る痕が付いていた。
あんなになるまで読んでくれたのだ。悪い子だとは思えない。
しかも、僕は
アンタ、と呼ばれ興奮していた。
先生、先生と目を輝かせながら敬語を使うぎゃっぷ萌、な彼も好きだが、見た目にふさわしく口の悪い彼もまた一見だ。可愛い。
とりあえず、怒ってなど居なかった。連絡が取れず寂しい位だ。
もう一回、電話を掛けてみよう。おっさん、めげない。
彼の連絡先を選択し、携帯を耳に当てる。
暫くコールが流れ、出てくれないかと諦めていた時、
かちゃ、
「……、もしもし、」
あぁ、出てくれた。
少し掠れてる、ハスキーな声。
一日ぶりに聞けて、なんだか泣きそうなくらい幸せになった。
「もしもし、どうも。おっさんです。」
「っ!、あの、す、すみませ、」「なぁ、君。」
彼の言葉を遮る。
「……、はい、」
「今から、会わないか?」
へっ、と可愛らしい変な声を出した彼に笑いそうになるのをこらえ、場所と時間だけ言って電話を切る。
なんだか、楽しみだ。
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