アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか？
猪俣先生③にしおりをはさみました!
- 文字サイズ：
- 行間：
- 背景色：
- しおりがはさまれています
-
猪俣先生③
-
（葵語り）
次の日は朝から雨だった。
雨の日は嫌いだ。
「葵、おはよう。昨日、部活休んだろ。なんで？」
朝、教室に行ったらハルトに聞かれた。
昨日……は先生に会ってた。
「あぁ。家の用事。」
「てっきり風邪をひいたかと思ったよ。家の用事か。今日は部活来るよな？」
「今日は生徒指導室に呼ばれてるから行けない。」
昨日の嫌なことを思い出し、苦虫を噛んだような気持ちになる。
「生徒指導室？ 熊谷に呼ばれてんの？葵、何かやったの？」
あの人の名前は熊谷と言うらしい。
「ううん、何も。昨日、駅前にいたらつかまった。」
「巡回してるもんな。熊谷はやっかいだけど、話せば分かってくれるよ。」
「行けたら行くから。みんなに言っといて。」
「わかった。」
放課後に生徒指導室へ向かう。
雨は全く止む気配がなく、暗い空を引き連れて本降りのままだった。
「失礼します。」
ノックをして、扉を開けると誰もいなかった。
自分から呼び出しておいて遅刻らしい。
中に入って座ると、強い雨の音が聞こえてきた。
早く終わらせて部活へ行こうと思っていた。
今日はきっと自主練だ。
「待たせたかな？ごめん。ちょっと用事が長引いて。」
少しして、熊谷先生が入ってきた。
「いいえ。」
少し前に来たばかりですから。
熊谷先生は、見た目が生徒指導の先生らしくない。
髪の毛は長めで、襟足も長い。
決して威圧的ではないが、おそらく怒ると恐いと思う。
熊谷先生が正面の席に座り、狭い部屋で対峙した。
ふんわりと煙草の匂いがする。
煙草を吸うんだ。なんか似合わないな。
そして、笑うとくしゃって音が聞こえそうな笑顔を見せた。
「あのね、今日ここに呼び出したのは、聞きたいことがあって。」
なんだろう。聞きたいことって。
熊谷先生の口がゆっくりと開いた。
「昨日、駅近くで猪俣先生と何やってたの？」
予想もしていない質問に、俺の頭が真っ白になった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 456
