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Ⅱ・10にしおりをはさみました!
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Ⅱ・10
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甘くねぇワインを飲み過ぎたせいか、火が点くのは早かった。
七瀬と待ち合わせしてる間に用意した、ローションとゴムを開封する。
「買って来たの?」
用意の良さを笑ってた七瀬も、勃ち上がったモノをしゃぶってやったら、たちまち余裕を失くして喘いだ。
偶然だけど、用意してたローションもオレンジ系で、「オレンジ好きだろ」って言いながら指に絡める。七瀬は否定してたけど、快感までは否定できなかったみてーだ。
「違っ、手作りなら、アレかって……ああっ」
上ずった声で言いながら、オレの指を受け入れた。
息を詰める七瀬の中に、1本、2本と指を埋める。ぐちゅぐちゅと鳴るローション、ふわっと匂う人工的なオレンジ。
でもそれよりやっぱ、さっき食ったオレンジピールの方が美味そうだ。
「手作りの食べるの、勇気いる……でしょ?」
息を詰めながらの七瀬の言葉に、指を休めず耳を澄ます。ワインと快感に酔ったせいか、言葉足らずで舌っ足らず。
「手作りって、チョコ? 料理?」
補足するように訊くと、どうやらチョコの話だったらしい。
実感を持って手作りがどうのって話をされると、どんだけたくさん貰ってんだって、やっぱちょっと嫉妬する。
けど七瀬が言いてぇのはそういうことじゃなかったみてーだ。自分ならちゅうちょする手作りチョコを、オレが何のためらいもなく食ったのが嬉しかった、って。
「食べてくれて、ありがとう」
肩口に縋られたままぼそりと言われて、なんつーか煽られた。
「食うに決まってんだろ。毒でも皿でも」
キッパリと言って、ふっと緩む唇を唇で塞ぐ。
甘い唾液、甘い吐息、甘い喘ぎを味わいながら、胎内に埋めた指を回す。
「ん……あ」
びくんと跳ねる体。
片手で穴を拓きつつ、残った手で柔らかな髪を撫で、頬を撫でる。すべらかな白い肌の下、ぴっちりとついた筋肉の感触を楽しむ。
普段とは違う場所だからか、興奮具合も違った。
ソファの上に押し倒された七瀬には逃げ場所がなくて、窮屈そうに身悶えしてんのにもそそられる。指を押し込み、粘膜のひだに触れながら抜き差しすると、きゅうっと締め付けられて愛おしさが増した。
「ふあ……んうっ……あっ」
微かな声が耳に届く。
片足を肩の上に担ぎ上げ、脚を開かせて更に指を増やす。
「ああっ」
七瀬が背中をぐっと反らすと、ソファがキシッと音を立てた。
「暴れると落ちるぞ」
指の動きを休めずに言うと、「やっ」って言いながら首を振る。
立ちこめる甘ったるいオレンジのニオイ。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て、七瀬の入り口が熟れて緩む。
いいか、とはもう訊く気になれなかった。ダメならダメって、ハッキリと言われる気がする。その割に好きだとは言われねーけど、それも訊く気にはなれなかった。
受け入れられてんのは、見れば分かる。
一旦肩からずり落ちた足を、もっかい肩に担ぎ上げて、入り口に肉根を押し当てる。
「ああっ、んんっ」
七瀬がうめいて、ぎゅっとデカい目を閉じた。
奥までぐっと貫くと、「んっ」と高いうめき声と共に、首元に腕が伸ばされる。
窮屈な体勢に平然と耐える、相変わらずの柔軟性。ゆるく揺すると熱いひだがきゅうっとオレに縋るように締まった。
キシキシと軋むソファ、その狭い座面から、繋がったままで七瀬の上体が少しずつ下にずり落ちる。
「あっ……待って、落ちちゃう……っ」
上ずった声で言われたけど、待つどころか逆に煽られた。ソファの座面にくったりと背を預け、なすすべなくずり落ちてってる姿が最高に色っぽい。
そんな気にするような段差でもねーし。
「いーよ、落ちろ」
構わず敢えて床に落ちさせ、そのまま覆い被さって遠慮なく突いた。
とうに火の点いた体は、熱くてたまんなくて、動かずにはいらんなかった。
「ベッドに」って何度も言われた気ィするけど、移動するために中断できねぇ。もっと、もっと。追い立てられるように揺さぶりを早くして、腕ん中の七瀬を抱き締める。細い腰も、筋肉質の体も、脚も、腕も、全部オレのだ。
他のヤツに気安く触れさせねーで欲しい。気安く触れねーで欲しい。
こうして深く繋がらせんのはオレだけだって分かってるけど、独占欲だけはどうしようもなくて、失くせそうになかった。
オレのだって分かるように、オレの印がつけばいーのに。
体の奥にオレの痕跡を刻み付け、ニオイ立つくらいの所有印をつけたい。
「七瀬っ」
名前を呼んで、ぎゅっと奥の奥を穿つ。
「ふあっ! あああああっ!」
甘い悲鳴を聞きながら、腰を捉えてガツガツと打ちつける。
しなやかな体が跳ねるのを見ても、どこまでも欲が止まらねぇ。もっともっと深く、もっともっと強く、いっぱいいっぱい愛したい。
「八木くん……っ」
快感に耐える七瀬が、オレを呼びながら背中に縋る。ぎゅっと爪を立てられて、その痛みに余計煽られた。
「あっ、ああっ、深、い……っ」
抗議とも睦言とも言えねぇ、甘い悲鳴に満たされる。
「深いの好き、だろっ」
言いながら更に動きを早くして、仕上げにヒザに乗せ上げると、深く繋がった七瀬が高く啼いて、オレの肩口をがぶりと噛んだ。
「深いの好き、なの、八木君、でしょ」
息を切らしながら切れ切れに言われて、煽られねぇ訳がねぇ。コイツどうしてやろうって、凶暴な愛情が沸き上がる。
「待って、オレ、明日も仕事、が……っ、や、あああっ」
そんな悲鳴を何度も聞いたけど、牽制にもならねぇ。1回だけで終わる訳がなかった。
翌朝は、聞き慣れたアラーム音で目が覚めた。
ギシッとベッドが軋み、腕ん中の温もりがするっと抜ける。
「何時?」
寝返りを打ちながら訊くと、答えの代わりにため息をつかれた。
「知らない。ひどい。オレ、仕事だって言ったのに」
腰を押さえてぼやかれると、さすがに反省しなくもねぇ。
床の上でヤって、ベッドに移動してもヤって、いい運動した自覚はあった。鍛えてる甲斐があるっつーか。
「ワリー、多分チョコのせいだ」
冗談半分でそう言うと、「関係ないでしょ」って言いながら、チャリッと何かを投げつけられた。
反射的にパッと受け取って、えっ、と思う。キーホルダーのついた鍵だ。
「まだ寝てていいよ」
素っ気なく言いながら、裸のままでクローゼットを開ける七瀬。
キッパリと向けられた背中に「これ……」と問うと、振り向きざまにじろっと睨まれた。顔が赤い。
「いらないなら返して」
ツンと言いながらも、やっぱその顔は赤くて――じわじわと笑えてくんのを抑えらんなかった。
「返す訳ねーだろ」
素早くベッドから降りて、着替え途中の七瀬を抱き締める。
「邪魔!」
文句を言われたけど、それで引こうとは思わなかった。付き合ってるって実感はこんなことでも確認できて、それを怠ってた自分に我ながら呆れる。
迷ってたのって、これ? どれ?
「悪ぃ、うちの鍵も今度渡す」
その言葉に返事は貰えなかったけど、「いらない」とは言われねぇって、もうちゃんと分かってた。
(終)
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