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逢Ⅳにしおりをはさみました!
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逢Ⅳ
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「和泉。」
ちょっとでも何か言うたら、泣いてしまいそうやったオレは、返事もせんと俯いたまんま、黙って立ち上がった。
「和泉?」
「ちょっとトイレ、行ってくる。」
「そっちは、紅葉の林だぞ。トイレなら、あっちだ。」
「…おおきに。」
指差された方に歩き出そうとしたオレのバッグを静がトンと叩いた。
「いつになく、大荷物だな。」
―あっ!
そうやった。
「ぁ、あんな…コレ。ちょっと作ってみたんや。…また後で、食べてみてくれ。」
保温バッグごとタケノコご飯を押し付けると、オレはトイレへ猛ダッシュをかました。
取り敢えず、冷たい水で手を洗ってゆっくり息を吐く。
―ふう。
なんや、まるで、バレンタインの女子中学生みたいやったな。
我ながら可笑しなって、ちょっと笑ろた。
―そやけど。
さすがにあの池は、気付かなヤバいレベルやんな?
コレ以上、何かやらかす前に、今すぐ帰った方がええかもしれん
そう考えてスマホを取り出したオレの後ろから、手が伸びてきた。
「っ!?」
驚いたんは、一瞬やった。
―この香り。
「静?」
「済んだなら、行くぞ。」
―え?
「行くって、どこへや?」
この後の予定なんて、あったっけ?
「決まっているだろう。誰にも邪魔されず、2人きりになれる場所だ。」
『2人きり。』
そのワードで、オレの頭はバッチリ、ショートしてもたんやろうな。
後で静に聞いた話では、酔っ払いみたいにベッタリくっついて、離れへんかったらしい。
ハッと気付いたら、ホテルの部屋の中やった。
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