アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか？
墜落寸前にしおりをはさみました!
- 文字サイズ：
- 行間：
- 背景色：
- しおりがはさまれています
-
墜落寸前
-
そうこうしていると、ヨシが帰ってきた。
「なに、タツ兄が楽しそうに笑ってる！ミネとなに楽しいことしてたの？」
珍しく俺に笑いかける、というより俺を笑うと言ったほうが正しい気もするけど、そんなタツを見てヨシが物珍しそうに前のめりになる。
「こいつが面白い顔してたんだよ」
すぐに笑顔を引っ込めてタツがいった。
面白い顔って、しつれいな。
でもタツが笑ってくれたのならやっぱり何でもいいかもしれない。
だって、俺はそれだけで嬉しくてたまらない。
「えー、どんな顔？」
「ないしょ」
タツがそういって、俺を見つめる。
タツの視線は絡まって離れないような強さがある。
心臓がドキリと一瞬はねた。
「なにそれ！いつの間に二人仲良くなったの？まあ俺的には嬉しいけどさ」
ヨシの言葉にちょっと嬉しくなった。
俺とタツは仲が良く見えてるのか、そうなのか。
「別に仲良くねえよ」
そんな喜びは、その一言で砕け散った。
なんだかすごく悲しい気分になってきた。
やっぱり俺の気分は、タツの言葉、行動、すべてに握られている。
何かおどけた返しをすればいい。
それなのに今の俺にその元気はなくて。
「そか」
うつむいて、そう答えるしかなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
32 / 40
