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Act.15 宅急便にしおりをはさみました!
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Act.15 宅急便
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そこに立っていたのは宅配便業者の制服を着た香月さん?
でもなんで、宅配業者のコスプレなのでしょう?
とにかく今はそんな事より、この場から逃げるのが先です。
「香月さん!助けてください、僕は…襲われそうなんです」
「将生、こっち」
そう言うと香月さんは僕をドアの外に引っ張りだし、部屋の中にドアを閉めると、ドアノブと真横にある窓の外柵に手錠を二つつなげてかけました。
……え?て、手錠?
一体、何に使うつもりでこんなもの持ち歩いてるのでしょうか。
大騒ぎになっている部屋を後にして、急いでアパートの階段を降りました。
そこに停まっていたのは……あ、あの黒いバンです。監督でしょうか?
「斉藤ちゃーん、どうした?やっぱり大騒ぎかあ」
「ありがとうございます!香月さん連れてきてくれたの監督なんですね、助かりました!」
「とりあえず監督、スタジオに」
香月さんが監督に言います。スタジオ……え?結局撮影なのですか。監督は車を出しなから面白そうに笑っていますし。
「電話もらって、何があったのかとネット調べたら面白い事になってるからさあ。コスプレ、次のネタになりそうだなと。よければ、ちょっと撮らせてもらえるかなと思っていたら電話もらったから、乗せてきたんだよ。こいつ、車持ってないからね」
車……持ってますよね?あの赤いスポーツカー……まさか…僕大変な勘違いをしていますか。
「あの……まさかとは思いますが、柚人さんですよね?」
「え?俺とユズってやっぱり区別つかない?」
制帽を脱いで、メガネをかけると……オミさんです。
「あの、香月さんは……」
「あのね、俺も香月だから」
そうでした、いつも困った時にヒーローのように助けてくれるのは弟さんの予定でしたので……。
「あの…柚人さんは?」
「ああ、あいつなら昨日から撮影で帰ってきてないよ」
撮影って……他の監督さんの作品にも出てるのでしょうか?
「撮影……?」
「最近はモデルの仕事の方が忙しくなってるからね。昨日からは雑誌の撮影だよ」
「雑誌ですか?」
「あ、普通の女性向けのファッション誌、ユズはもてるから気を付けないと盗られちゃうかもね」
ニヤニヤと笑うなんてオミさん、人が悪いです。
「オミさんだって同じ顔なんだし、モデルのお仕事されたらいいんじゃないですか。きっとモテますよ」
「あ、俺は昔から写真撮られるより撮るほうが好きなの。だけど、将生とならユズの代わりもいいかなと思ってさ」
「え?どういうことですか……」
「あ、香月ちゃん忙しくなっちゃったからさあ、次のやつどうしようかと困ってたのよ。そしたら斎藤ちゃんの相手ならってオミ君引き受けてくれたからさ」
「え、えええっ?いえ、同じ顔でも無理です。本当に駄目です」
香月さんに殺されてしまいます。一難去って、また一難です。
僕に平穏な日々が戻って来ることってあるのでしょうか……。
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