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18歳以上ですか?
〃 ⑤にしおりをはさみました!
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〃 ⑤
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「あ、演奏会だとよ」
凄い勢いで歩いていた監督の足が止まった。
「鳴苑(めいえん)高校吹奏楽部定期演奏会……」
「聴いてくか」
「え?監督?」
何を思ったのか、切符を買って会場へ入っていく。
座席に着いて開演を待つ間、
「鳴苑…て、確かセンバツに出たことありますよね?」
オレが思い出して言う。
「ああ。ここの吹奏楽部には学生指揮者がいてな」
「監督、知ってるんスか?」
「ちょっとだけ。新聞で見た」
パンフレットに目を落としながら監督が続ける。
「演奏者と、観客の心を繋ぐような指揮なんだとさ」
「……へえ…何かピンと来ないスけど」
「だよな。オレも分からねぇ。」
吹奏楽の事はよく分からないオレにも、凄い音を
出してる、ってのは良く分かった。
個々のレベルも高いんだろうな…心を掴まれて
揺さぶられるような音楽だった。
全国大会で金賞を獲った曲の時は、
自分の周りに虹が見えるような……
そんな不思議な感じがした。
そして、最後の曲。
金管楽器と、ピアノと、ボーカルで、松任谷由実の
『春よ来い』。
指揮をしていたヤツがピアノを弾いて…
はっきり言って、そんなに上手くない、と思う。
でも…何故か心に沁みてくる……
ロングの黒髪の、ツンデレっぽい女の子がボーカル。
綺麗な声だ。思わず聴き入る。
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