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ある日のお話 ~伝う熱と、嵐のような2人~01にしおりをはさみました!
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ある日のお話 ~伝う熱と、嵐のような2人~01
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<登場人物>
リョクレン
トウレン
カイレン(アルザ)
クリノ
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「リョクレンさん、すみません、
トウレン副隊長が…」
肩を貸しながら半分引きずられるようにして
トウレンが医務室へと運ばれてきた。
「な、なにがあったんです?」
トウレンを引き取ってベッドへと
寝かしながら問う。
「実戦訓練で敵役の部隊が打った石砲が
副隊長の前の大木に直撃しまして、
倒れた木の下敷きになってしまったんです・・・」
リョクレンは短く荒い呼吸を繰り返す
トウレンを痛々しい表情で見つめた。
「…わかりました。ありがとう。
あとは僕がやります」
「すみません、宜しくお願いします」
そういうと、トウレンの部下は部隊へと
戻っていった。
「まったく、この子は・・・」
カーテン仕切りのあるベッドに寝かされた
トウレンは目をギュッと閉じ、
眉間にしわを寄せた苦悶の表情を
浮かべながら浅く荒い呼吸を続けていた。
大量の汗もかいていたため、
ひとまず少量の水を飲ませた。
泥だらけの服を脱がしにかかる。
触った感じ、幸いにも骨折はしていない
ようで、リョクレンは内心ほっとするが、
全身打撲を負っているためトウレンは力を
入れることができず、力の入らない人間を
介抱するのは骨が折れた。
シーツも換え、
裸のトウレンを仰向けに寝かす。
冷たい水で濡らしたタオルを硬く絞り、
体を拭っていく。
背中で大木を受けたのだろう、
トウレンの背中は真っ赤になり、
背中全体的に内出血を起こしていた。
極力そっと触れるよう努めるが、
それでも痛みが走るらしく
目を覚ますことはなかったが時折
小さな呻き声とともに
ぎゅっと閉じた目をさらにきつくし、
さらに目元へのしわを深くする。
痛々しい弟の姿に顔を歪めながらも
淡々と汗と汚れを拭きとっていく。
とても機械的な作業ではあるが、
相手はいつも気にかけている弟。
筋肉の付きにくい体を気にしながらも
毎日鍛錬を欠かさず、
体つくりに励んでいる姿を微笑ましく
見守っている。
頑張り屋さんで生傷も絶えず、
しょっちゅう医務室へとやってくる。
ケガが多いことはとても心配だが、
不謹慎にも、しょっちゅう会って
触れられることは嬉しく思っていた。
そして今も・・・汗を拭いながら
鍛えられた体を見て微笑んでしまっていた。
「・・・僕は、なんて・・」
不埒な自分を恥じながら髪についた土も
拭き取り、軽く冷やしておいた
ガウンタイプの病衣を着せ、
両腕を外に出す形でタオルケットを
胸の位置まで被せた。
少し落ち着いたのか目は閉じたままだが、
表情は少し柔らかくなり、
呼吸もゆっくり静かなものになっていた。
リョクレンは使用済のタオルと脱がした服を
片付けた後、ベッドの横に用意した
椅子に腰かけた。
柔らかそうなオレンジがかった
桃色の髪に触れる。
濡れタオルで拭いた髪がしっとししていた。
「後で乾かそうね」
囁くようにトウレンに声を掛ける。
その声に反応したのか、
トウレンは桃色の濃い睫毛を揺らして
そっと目を開け、リョクレンの声が
する方へゆっくりと顔を向けた。
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