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ある日のお話 ~伝う熱と、嵐のような2人~02にしおりをはさみました!
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ある日のお話 ~伝う熱と、嵐のような2人~02
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「・・起きた?」
「・・・・・リョク、にぃ、、俺、、」
「うん、ゆっくり寝て」
リョクレンはそっとトウレンの頬を撫でた。
優しく触れられた頬がくすぐったい。
そっと目を閉じようとしたが、
だんだん意識がはっきりしてくると同時に、
体中の痛みもはっきりしてくる。
全身がだるく重くあちこち痛い。
体の表面が痙攣しているような、
内側から大きく脈を打つ箇所もあり、
皮膚全体が痺れるような感覚にも襲われ、
うまく力が入らない。
「ぃ・・・っ」
トウレンが痛さの余り苦悶の表情を
浮かべる。
体の内側はまだ熱をもっているが、
着せられた服がひんやりしていて少しだけ
寒さを感じた。
トウレンの苦しそうな表情に思わず
リョクレンも眉をハの字にして
哀しげな顔になる。
「だいじょうぶ?」
「ん・・・少し寒い」
「うん、ちょっと寒いよね、
腫れが引くまで、少し我慢してね」
不幸中の幸いか、
大木の打撃を受けたのは体だけだった。
頭部は顔に少し擦り傷ができたくらいで、
他に別状はなかった。
リョクレンは苦しそうなトウレンの
頭を撫でる。
今は安静にしていてもらうしかない。
痛みに慣れ始めたのか、
トウレンの表情は少し緩む。
リョクレンの頭を撫でる優しい手つきが
トウレンを落ち着かせる。
昔から、リョクレンの優しく触れる手が、
見つめる目が、声が好きだった。
自分はまだまだ未熟で鍛錬が足りないと
悔しい思いをするのだが、
リョクレンはいつも半人前の自分を
いさめることはなかった。
今みたいに優しくなで、心配してくれ、
いつも頑張ってるねと褒めてくれる。
それが嬉しくて毎日の鍛錬を欠かせない。
それは病弱なリョクレンを自分が守りたい、
カイレンやユウレンみたいに強くなりたい、
そんな気持ちもあって励んでいた。
ケガするのはみっともなくて
恥ずかしいと思うけど、
その度にリョクレンに手当して
もらえるのは嬉しかった。
しばらく頭を撫でられているうちに
回復してきた。
1人では起き上がれそうにはないが、
じっとしてる分には痛みはさほど
感じなくなってきた。
「リョク兄、ありがと、
だいぶ楽になったよ」
リョクレンに向かってニコりと
笑って見せる。
リョクレンも微笑み返す。
「よかった。
トウレン、お水飲もうね。」
そう言うと撫でる手を止め、
椅子から腰を浮かせてベッドに片膝をつき、
トウレンの上体を起こそうと
覆いかぶさるように抱きついた。
トウレンはどきりとして、
一瞬体が強張った。
「少し痛いかも知れないけど、我慢してね」
耳元で囁かれたのがくすぐったく
胸がどきどきした。
「リョク兄、、待って・・・!」
「ん、ごめん、痛い??」
「ちょ、ちょっとだけ、このまま・・」
痛くてうまく力が入らない腕を動かし、
リョクレンの背中に回す。
回された手は熱く、
甘えるような声で囁かれ、
リョクレンの耳も触れられていない
顔までもが熱くなる。
(僕はどうしてこんなにドキドキ
してるんだろう///)
そう思いながら可愛い弟の甘えを
受け入れる。
1本に束ねられたリョクレンの淡い鶯色の
柔らかな髪がトウレンの顔と首筋に落ちる。
ふわっと、石鹸のいい香りがした。
トウレンはずっとこうしていたいと
思ったが、だんだん恥ずかしくなってきた。
「リョ、リョク兄、あ、ありがと・・!
お、俺、水飲みたいな!
起こしてくれる?」
「えっ、ぁ、うん、じゃ、じゃあ、
起こすよ」
「・・・ぃっ、、た!」
痛みに耐えながらようやく上体を起こして
座った。なんとなくお互いの顔を
直視できなかった。
「ぼ、僕、お水取ってくるね」
「う、うん、ありがと」
リョクレンはどこからかくる
恥ずかしさを隠すように
トウレンの方を見ないように仕切りの
カーテンから出て、
医務室の入り口の方に置いてある
冷蔵庫へと向かった。
そのとき、
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