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第二章 秘密(16)にしおりをはさみました!
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第二章 秘密(16)
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夜中どこに行っているのか、と西野に問いただすことは、俺が明頌に来てからの3年間の寮生活で得た、『ルームメイトのプライバシーには不要に踏み込まない』という教訓に反することだった。
だが、その禁を犯すことに決めた。
俺は、優しく、穏やかな隣人としての西野が好きだった。
そして、俺の知っている西野と他の人から伝え聞く西野のギャップを埋めて、もっと躊躇なく、西野を好きになりたかった。
土曜の夜、俺はベッドに横になったまま、眠ってしまいそうになるのをこらえて、西野が動き出すのを待っていた。
そして、午前一時半ごろ、そのときは訪れた。
西野は静かに身を起こし、ベッドから降りたあと、何かを探っているような音が少ししていたが、やがてゆっくりと部屋の出入り口まで移動し、廊下に出て行った。
直後に俺は飛び起きて、二段ベッドの階段を滑るように下り、上着を羽織ったあと、西野を追って部屋を出た。
廊下にはもう彼の姿はなく、しんと静まり返っていたが、俺は足音を殺しながらもできるだけ急いで、一回へと階段を下りた。
西野はきっと、夜中、館内にとどまってはいないのだ。
先日、夜中に雨が降った日の朝、玄関にある西野の傘だけが濡れていたことに俺は気づいていた。
そして、俺が下駄箱にたどり着くと、予想通り、寮の玄関に、今まさに表に出ようとしている西野の姿があった。
「西野」
他の者に気づかれないように、押し殺した、だが西野には確実に届く大きさの声で、西野を呼んだ。
西野はびくっとして立ち止まり、手に持っていた何かを落とした。
猫缶だった。
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