アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
第三章 帰郷(1)にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
第三章 帰郷(1)
-
あの夜以来、俺たちの関係はあきらかに変化していた。
以前は、寮の二人部屋で一緒になったときは、互いに気を使い、和やかに過ごせるよう注意してはいたものの、一歩部屋を出れば、それぞれの友人たちとばらばらに行動するのが普通だった。
しかし、あれ以来、俺たちは自分たちの部屋以外でも、共に過ごす時間が増えていた。
学業第一が校風の明頌では、部活の終了も早く、一番長くても午後6時だ。西野は、俺が部活を終えて帰寮するまで夕食をとらずに部屋で待っていることが増え、俺が戻ってから一緒に食堂に行ったり、自習時間開始までのつかの間の自由時間も、ともに取り留めのない雑談に興じたりするようになり、共通の友人や話題もどんどん増えて、ますます一緒に過ごす時間が増えていった。
そして、桐谷さんの例からしてうすうす予想できていたが、そばで時間をともにするようになって気づいたのは、西野もやはり、寮、学舎の場所を問わず、すっかりアイドル扱いされていたことだった。
桐谷さんの場合は、本人にどこか近寄りがたいオーラがあって、畏怖されているためか、表立って騒ぐ勇気のある”ファン”はいなかったのだが、西野に対しては、みな、あからさまで遠慮がなかった。
「あれ?まどかちゃん、髪色変えた?」
「お前、今頃気づいたの?日曜から変わってるよな?」
「すっごい似合ってる。前のも可愛かったけど」
俺たちが食堂で向かい合って夕飯を食べていると、あとから来た同級生や先輩たちがわらわらと寄ってきて、おのおの勝手なことを言いながら、西野を取り囲むように席を確保するのは日常茶飯事だった。
あげく、俺と多少親交のある先輩などは、
「嶋田、お前、もう食い終わってるだろ。部屋帰ってていいよ」
と俺だけ追い出して、なんとか向かいの席をかすめ取ろうとしたりするのだから、俺もあきれてしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
38 / 246