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18歳以上ですか?
336にしおりをはさみました!
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はぁ…と溜め息を吐いた桃さんが諦めたようにスマホを取り出す。
スケジュールを確認して「金曜の夜か日曜」と言った。
「んじゃ日曜で」
「バイトは?」
「今週末は休みです」
嘘だけど。誰かに代わってもらおうと思う。
「待ち合わせ場所とか時間は後で送るんで。
次無視したら許さないですから」
「……クソ生意気!」
「知ってます。拓海帰るぞ」
挙動不審の拓海を引っ張り、また駅へ戻る。
今度はちゃんと家に向かう電車のホームに降りる俺の服の裾を拓海が引っ張った。
「なに?」
「なぁ、結局なにがしたいんだよ?」
「なにって…まぁガキならガキらしく足掻いてみようと思っただけ」
「はぁ?」
それ以上聞いても意味ないとわかったのか、黙った拓海。さすがに振り回しすぎた自覚はある。
「あ、そうだ」
分かれ道で俺とは反対へ帰っていく拓海に声をかけた。
「これ」
持っていたショップ袋から、一回り小さな袋を渡す。
「なんだよ?」
「いいから受け取れよ」
受け取り、恐る恐る中を覗いた拓海が目をパチパチさせた。
そして取り出したソレを見て、俺に視線を移した拓海がパァッと笑う。
「歩!これ!!」
「さっきの店で見てただろ。今日付き合ってくれた礼」
それは拓海に似合いそうなTシャツ。
俺は絶対に選ばない色、デザインだけれど拓海なら着こなせると思う。
嬉しそうに笑う拓海は単純だけど可愛いやつだ。
「じゃあまた学校でな」
背を向けて歩いていく。
反対に進む拓海は、きっとまだ笑っているだろうと思った。
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