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みんなが来るまであと3時間。
せっせと料理に勤しむリカちゃんを見ながらソファーに座っていた俺は、おずおずとキッチンに向かった。
「ん?どうした?」
黒いエプロン姿のリカちゃんが現れた俺に問いかける。
僅かに首を傾げれば、長い髪が邪魔にならないように結われた毛先が揺れた。
「……暇だから手伝ってやる」
「邪魔するの間違いだろ。なに?もしかしてウサギさん構ってもらえなくて寂しいの?」
「違うし。暇だからだって言ってんだろ」
リカちゃんのエプロンを脱がすべく腰の紐をほどく。
「おいおい…お前のなら他にあるから」
「いい。これでいい」
正確にはこれがいい…んだけど。
笑いながらも、されるがままのリカちゃんからエプロンを剥ぎ取り身につけた。
香水の匂いが鼻を掠め、布地を持ち上げ嗅ぐ。
学校の時と違って少し強めの匂い。
やっぱり俺のよりリカちゃんの方が甘さが強い気がする。
この甘ったるいリカちゃんの匂いが落ち着く。
「んー……そういうの可愛くてイイんだけどさ、時と場合を考えてやってくんない?」
「は?」
「移り香を嗅ぐってどんだけ好きなの」
「お前のことなんか好きじゃねぇし!」
照れ隠しに悪態をつく俺を覗き込んでくるリカちゃんの顔は緩みっぱなしだ。
「俺じゃなくて匂いの話だったんだけどな。
慧君ってば可愛いこと言ってくれるね」
「っな!…バカなこと言ってねぇで手を動かせよ!!」
目の前にあったゆで卵を掴み、殻を剥いていく。
まだこちらを見て笑っているリカちゃんは無視だ。
「はいはい。んじゃ強力な助っ人も来てくれたし終わらせるか。」
トントンとリズムよく包丁を扱い、よくわからない調味料を慣れた手つきで使いこなす。
料理の出来る男はモテる…前にテレビでやっていたけど本当だと思った。
やっぱり俺も料理覚えようかな。
別にモテたいわけじゃないんだけど。
「うん、美味い。お前も味見してみる?」
ドレッシングを手の甲に乗せ、味見をしたリカちゃんがこちらを向く。
「うん」
リカちゃんの真似して手を持ち上げて待つ。
「ん。舐めてみ?」
「……は?」
乗せてもらえると思って差し出した手は、無かったかのように無視され、代わりに口元に寄せられたのは
「なんでお前の手に乗せんの?」
リカちゃんの手だった。
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