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起きてリビングに行けば宣言通りテーブルの上にDVDの山があった。
いくら映画好きでもこんなに観れるわけない。
っつーか俺は映画好きじゃない。
積んであるDVDは話題の新作から少し前に流行ったアクション物まで様々で、そういやリカちゃんこれ観たがってたな…なんて考えてしまう。
その中でも目についたものをデッキに入れ再生する。
派手な音に派手な映像。作られたストーリー。
物語に入り込めない…のは、昨日の恒兄ちゃんとの会話の所為。
イライラする気持ちはどこへ行くでもなく、俺の中に溜まり続ける。
今日に至ってはリカちゃんからのメールも来ないし、余計にだ。
人に振り回されるのが嫌いだったのに。
それが嫌で家を出たのに。
向けられない父さんの視線と、それを代弁する恒兄ちゃん。俺に興味なんてないくせに見張られてる気がしてた。
返って来るはずのない返事を期待して、落胆して。
それなら初めから無ければいいと思ったんだ。
目が合わなければ、そらされることはない。
話しかけなければ、冷たく返されることもない。
一人暮らしをしたいって言った時、父さんは安心したように見えた。それを見て別に悲しくなんかならない。
暇だ暇だと言っても時間は1秒1分1時間と進んで気づけば夕方。
もちろん恒兄ちゃんは帰って来てないし、お手伝いさんが帰れば俺は広い家にずっと1人きり。
テレビから流れる音だけが俺の話し相手だ。
「リカちゃんに明日帰ること言ってねぇや」
こんな時間になって思い出した俺は『明日帰ることになった』とそれだけ送った。
ずっと連絡を待ってるくせに自分からは素っ気ない文章しか送れない。
返事を待つこと数十分してリカちゃんから来たのは『わかった』の一言のみ。
「もっと他に言うことねぇのかよ」
それが何だって聞かれたら答えらんねぇけど。
でもやっと来た連絡が『わかった』だけなのは冷たすぎねぇか?
「こんなときにS発揮してんじゃねぇよバカライオン」
もちろん『誰に向かって言ってんだよバカウサギ』は返ってこない。
俺のスマホが着信を知らせたのは12時を迎える数分前のことだった。
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