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「だから、恋人になって」
涼しげな笑みを浮かべながら、あり得ないことを告げる彼から目をそらせなくなってしまう。
「とりあえず、友達からでいいから」
「……っ!」
机の上に置いていた手を掴まれたから、咄嗟に遥人は振り払った。
「なにかの……罰ゲーム?」
「そんなくだらない遊びはしない」
確かにその通りだろう。クラスメイトだから知っているが、彼はそんな事をするような人間ではない。
憶測でしかないけれど、わざわざ自分の良い評判に泥を塗るようなまねはしないだろう。
「……無理です」
ならば、答えなければならないと思い、遥人ははっきりとそう告げた。
「それは恋人として?友達として?」
「どっちもなれない……です。今泉さんなら俺じゃなくても、なりたい人が沢山いますよね。話がそれだけなら、俺、帰りますから」
「待って」
立ち上がりかけたところで突然、右の手首を掴まれる。
「大雅の事が好きだから?」
「……ちがいます。ど、どうして宮本さんが出てくるんですか?っていうか俺、男同士で恋愛とか、そういうの、無理です」
「そう、遥人が大雅を好きじゃないなら、チャンスはあるってわけだ」
口端を上げて微笑む彼の雰囲気は、いつもとはどこか違っていた。
男同士は無理と言ったのに、その部分は完全に無視をされ、しかも名前まで呼び捨てにされてしまっている。
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