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18歳以上ですか?
怖いにしおりをはさみました!
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怖い
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「………………恋夏。やほ。」
俺が待ち望んでいたその子は顔の横に手を挙げてふわりを微笑んだ。
でも俺は分かってしまった。
「……美弥。無理して笑わないで。辛くなるから…」
「………………そ?ならやめる」
声の軽快さとは反して顔は無表情で言った。
俺は目の前のこの人間が美弥だと認めたくなかった。。。
まさに人形のようなこの人間が怖かった。
美弥をこうしてしまったと思うのが怖かった。
俺を恨んでるのではと思うと怖かった。
美弥を怖いと恐れてしまうことが怖かった。
美弥の凛とした雰囲気が消えてしまっていた。
芯の通っていたその声は、
意思を示していたその顔は、
俺を支えてくれたその腕は、
俺のあとをついてきてくれたその足は、
全てが美弥だと思えなかった。
声は軽快に。
顔は無表情に。
太いことがコンプレックスだった腕と足は
細長く。
「………………美弥なにしてたの…?何を…したの?」
俺が床を睨みながら絞り出した声は震えていた。
美弥はとても愉快そうに言った。
「………………別に?ただ演技の特訓をしただけだよ。あいつがいったからね。演技が下手だって。そんなのあたしのプライドが許せないよー!」
俺は思い切って美弥の顔をみた。
楽しそうに続ける声とは真逆の何も感じさせない冷たい顔。
……美弥。
お前何があったんだよ…。
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