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    『君の青い目は、金髪の方が映えると思うな』

    初めて愛した男のそんな何気無い言葉を拾ってしまうぐらいには、彼からの愛を欲っしていた。

    悲しいかな。叶うことなど無かったけれど。

    【愛の囁きより早く】

    「……頭皮が死ぬ」
    「そんなに痛いならやらなきゃいいだろ」

    地毛の色が出だした髪の根元に脱色剤を塗り込み、ラップを巻いて放置する。ソファーに寝転がり、色素が破壊されていくのを待っている間、チクチクとした痛みと共に熱を感じ始めた頭皮の嘆きを代弁すれば、仕事に打ち込んでいるとばかり思っていた男から反応が返ってきた。こっちを向いたのかと思いきや、相も変わらず背中しか見えない。時折カチカチとマウスをクリックする音が聞こえてくる。

    「根元だけ茶色とかダサいじゃん?」
    「抜き過ぎてるから、地毛の色が目立つんだろ」
    「まぁね。でも一回色抜いちゃったらさ、もう元の色には戻れないっていうか。リセットするには坊主にするしかないよな」
    「染めるって選択肢を忘れてないか?」

    確かにそうだ。
    この習慣化した脱色を終わらせるには、いっそのこと地毛より暗い黒を入れたらいい。男の髪よりも黒い漆黒を。そうすれば、この習慣も自ずと消えて無くなるだろう。
    しかしこれは、ある意味習慣という名の儀式なのである。
    自分を最も、最高な姿へするための儀式。

    「まぁでも、俺は金髪が一番似合うからね」
    「ビッチにしか見えない」
    「いいじゃん。本当のことだし」

    ソファーから降りると、男の背中へと近付く。先ほどから男が目を離そうとしないデスクトップの画面をその背中越しから覗き込めば、挑発的な表情で自らの陰部を人差し指と中指で広げる女性の写真が飛び込んできた。その陰部にカーソルを合わせた男は、黙々とそこをクリックしてモザイクを掛けていく。

    「良い女。肉付きもバランスも申し分ないな」
    「プロだしな」
    「こういう写真撮ってる時とか、編集してる時とかってさ、勃起したりしねぇの?」
    「しない」
    「本当かなぁ?」

    おもむろに男の股間へと手を伸ばせば、瞬時にキーボードを触っていた左手で弾かれる。
    拒むということは、だ。ちょっとは反応しているのかもしれない。そう考えると、悪戯心に火がつき顔がにやけていくのが分かった。
    唇を男の耳元まで持っていくと、わざと吐息がかかるように囁く。

    「……俺のこういう写真と、女優のこういう写真とだったら、どっちが興奮する?」
    「……………………」
    「…………俺って言ったら、デスクの下に入ってしゃぶってやるよ?」

    そんな甘い囁きに反応してか、男は漸くこちらを見た。眼鏡の奥に見える鋭い眼孔の下に居座る濃い隈が、男の疲労感を物語っている。

    「…………いくら?」
    「金はいいや。俺も色抜けるまでの暇潰しだし」
    「じゃあお前」
    「はいはーい。了解しましたー」

    するりとデスクの下へと入り込めば、見事に頭の登頂部をデスクへぶつけてひどい音を立てた。あぁ、良かった。脱色時のラップをちゃんと巻いていて。
    打った部分をラップの上から撫でる。

    昔はこんなこと無かったのにな。
    随分と、この身体は成長してしまったらしい。
    悲しいかな。悲しいかな。

    気を取り直し、男の履いていてるジーンズのファスナーを口に咥える。

    こんなファスナーの開け方も、そこから出てくる物のしゃぶり方も、教えてくれたのは初めて愛した男だった。

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