アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4-2
-
「あ、…あのっ…」
僕の子供たちとそう年が変わらないのに、やけに落ち着いた物言いが
拙い声色と似合わず、どう声をかけたらいいのかとうろたえていると。
ふふっ…と可笑しそうに口元に手をあてて、マスターが笑いを堪え切れずにいるのが見えた。
「…リュートさぁ~ん?おにいさん…ほんとは、おおきくないの?」
どう見ても大人に見えるよ?と可愛い男の子は首を傾げたままだ。
「ふふふ…、皐月くん?
小さいお友達は、このお兄さんじゃなくて…水槽の前にいるんだよ?」
「すいそうの…まえ?」
そう言うと、今までカウンター越しにいた小さな可愛い男の子が
マスターの背後を通り過ぎて、跳ね上げ式の扉の方へ走って行く。
彼の身長だと、たぶん跳ね上げ式の扉は開けずにも通り抜けられるだろうけど
マスターが後を追って、彼が通れるくらいに軽く扉を支えていた。
「んん?…どこ…?あっ、いたぁ~~~!!」
カウンター席に座ったまま、男の子の様子を黙って見つめていると
扉をくぐり、辺りをキョロキョロと見渡しながら出てきて
水槽前にいた僕の子供たちを見つけて、より高い声を上げた。
「リュートさぁ~んっ!ほんとに、ちいさいおともだちがいたよっ?」
「うん、そうだね?」
「ねぇねぇ~?あそんでも、いぃ~い?」
今にも走りだしそうな程に楽しそうな表情をして、瞳を輝かせているから
マスターもどうしようか…と僕に視線を向けてきた。
僕の子供たちより少し大きいみたいだし、マスターの子供なら安心だろうと頷いてみせた。
「じゃあ…ジュースを用意したから、呼んで来てくれる?
あ…皐月くん。ちゃんとご挨拶はするんだよ?」
「はぁ~いっ!…って、おれっこどもじゃないからっ。あいさつちゃんとできるもんっ」
「はいはい。驚かせないようにね?」
わかってる~っと水槽前の子供たちの所に走って行く姿を見ながら
さっきのマスターと男の子の会話の中に、可笑しな所を感じて失礼かと思いながら尋ねてみる。
「あ…の、…彼は?マスターの…?子供じゃないって…?」
どう見ても彼は小さな男の子に見えるし、高い声に拙い話し方は子供特有だと思う。
それに…マスターの異国を思わせるような容姿に比べて
柔らかに揺れる明るい髪と小さい顔に大きな瞳…の彼は
どちらかと言えばマスターとは似ていない様に思える。
失礼な質問だとは、重々分かってはいるけれど
気になって仕方がなかったのだ。
「彼は…身内なんですが、私の子ではないんです…。
今日は、訳あって預かっているんですよ…?」
そう言えば。
さっきも、マスター言っていた気がする。
訳あって臨時休業…って、この子を預かっているからなのかな?
水槽前の子供たちを見ると、可愛い男の子に話しかけられて頷いている姿が見えた。
やっぱり、彼は良い子なんだな。
人見知りの、うちの子が笑顔でいるのを見て何だかほっとした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 69